ウクライナ副首相「ドローン200機が必要」 戦況好転へ

ウクライナ副首相「ドローン200機が必要」 戦況好転へ
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『ウクライナのフョードロフ副首相兼デジタル転換相は対ロシア戦の状況好転に向け「高性能のドローン(小型無人機)200機が必要だ」と国際社会に寄付を呼びかけた。劣勢の東部戦線に投入し、ロシア軍の位置特定などにつなげる。ドローンは重火器とあわせ、ウクライナ軍の攻勢のカギを握るとみられている。

スイス南部ルガノで5日まで開かれたウクライナ復興国際会議の終了後、日本経済新聞の取材に応じた。フョードロフ氏は「ドローンは戦場で非常に重要な技術だ。多くのウクライナ兵の命を救うことにつながる」と強調。24時間連続で飛行し、高度5キロメートルから撮影ができるようなドローンの数を増やすことが、戦況の好転に欠かせないとの認識を示した。「戦線の長さなどから計算して、必要な機数をまずは200機と見積もっている」と明かした。

情報収集が主な役割だが、相手に突っ込んで爆発する自爆型のドローンも配備する予定だ。こうした高性能のドローンは1機当たり50万~200万ドル(約6800万~2億7千万円)で購入できるという。7月に入って寄付の訴えを本格化させたところ、約1千万ドルが集まった。比較的簡単に手に入る安価なドローンについても「市街戦では有効だ。日本も購入を支援してほしい」と訴えた。

今回の侵攻では、ドローンの活用に注目が集まっている。ウクライナは首都キーウ(キエフ)を目指していたロシア軍の位置情報を的確に把握し、撃退に成功した。今もネット上には、ウクライナ軍のドローンがロシア軍陣地を撮影したとみられる動画が大量に出回っている。一方で米メディアのビジネスインサイダーによると、ロシア軍もドローンを撃墜する対空防衛網を強化し、当初より活用が難しくなっている。

フョードロフ氏は「ドローンが使えない場面もあるが、ロシア軍が撃ち落とせないような有効な場面もある」と語り、全体として有効な戦術だと自信をみせた。ロシア側もドローンを使っているが、対ロ経済制裁で調達が難しくなっているとみている。「ロシア軍のドローンを分解すると、部品の8割が日本製や韓国製などだ。今は闇市場で買うしかなくなっている」と語った。

ロシア軍は東部全域の掌握を目指し、制圧したルガンスク州に続き、ドネツク州で攻勢を強めている。ウクライナ軍は規模でロシア軍に押されており、フョードロフ氏は「ドローンは必ず役立つ。だがさらに多くの重火器も必要だ」と強調し、欧米諸国に提供を呼びかけた。

一方侵攻終了後の復興を巡っては、ウクライナ政府はデジタル化を柱の1つにするとの計画を打ち出している。「デジタル化を進めることで、汚職の撲滅につながる」(フョードロフ氏)との見方だ。ウクライナは長年汚職が問題視されてきたが、例えば行政手続きを電子化することで、不正な金銭の授受が入り込む余地がなくなるとみている。

フョードロフ氏は31歳。ウクライナで最年少の大臣として2019年発足のゼレンスキー政権に入閣した。サイバー空間での攻防や偽情報対策など、ロシアとの「デジタル戦」も指揮している。(スイス南部ルガノで、白石透冴)

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