[FT]中国製監視カメラの禁止、超党派の英議員が要請

[FT]中国製監視カメラの禁止、超党派の英議員が要請
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『中国の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)と浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)の監視カメラを巡り、英議会の上下両院で超党派の議員が、倫理的理由から販売・使用を禁じるようジョンソン首相に要請した。

中国・上海に設置された監視カメラ=ロイター

与党・保守党のスティーブ・ベイカー議員やデービッド・デービス議員から、自由民主党のエド・デービー党首、労働党のジョン・マクドネル議員(元・影の財務相)、緑の党のキャロライン・ルーカス議員まで、右派から左派にまたがる幅広い政治的立場の67人から署名が集まった。

米国はこれまでに、中国政府がハイクビジョンとダーファの監視カメラをイスラム系少数民族ウイグル族の弾圧に使ったとして、両社に禁輸措置を課している。

英下院の外交特別委員会は2021年7月に発表した報告書で、ハイクビジョンとダーファの機器を全国的に禁じることを提唱した。

この報告書は「新疆ウイグル自治区全土で中国のハイクビジョン製のカメラが使われているうえ、収容施設で使用される主要なカメラ技術にもなっている」と指摘していた。

中国政府が両社を通じて海外で情報を収集しているという証拠はまだ出てきていない。ハイクビジョンもダーファも、英国で販売した監視カメラの運営まで担っているわけではない。
学校や地方自治体が設置

議員による請願書を取りまとめた人権団体「ビッグ・ブラザー・ウオッチ(BBW)」の調べでは、英国各地の学校や地方自治体の多くがハイクビジョン製やダーファ製の監視カメラを設置している。

BBWが情報公開請求で得た資料によると、ハイクビジョンあるいはダーファの監視カメラを使用しているのは、英国内の地方自治体で73%、中等教育学校で57%、国民医療制度(NHS)運営機関で60%に上る。いくつかの政府機関がハイクビジョン製監視カメラを導入している事例も確認された。

英内閣府が国内企業に対し、「新興技術で中国と取引することの倫理的な影響を考慮すべきだ」と正式勧告しているにもかかわらず、裏腹な実態が明らかになった。英政府は、顔認識技術や予測アルゴリズムを使った中国政府の大規模な監視に懸念を抱いている。

元欧州連合(EU)離脱担当相のデービス氏は、監視国家が「しのび寄ってくるという憂慮」をはねのけるために長年活動してきたと話す。

「米国は既に両社をブラックリストに載せた。われわれは国際的なパートナーたちと足並みをそろえる必要があり、これらの企業がもたらす侵略的で抑圧的な技術の禁止を検討すべきだ」(デービス氏)。

フィナンシャル・タイムズ(FT)は21年、英情報機関が自治体による中国製機器の導入に警戒を強めていると報じた。記録された映像が、中国政府によるスパイや監視、機密情報の収集に使用されかねないとの懸念がある。

英当局は近年、中国のテクノロジーに対して慎重になり、最新の高速通信規格「5G」のネットワークでは華為技術(ファーウェイ)製機器の排除を決めた。

サンプソン生体認証・監視カメラ・コミッショナーは4日、監視技術の取引先を信用できるような状況が必要との見方を示した。

「つまり、行動や決定とその結果に対する責任を認めて引き受けること、そして公の調査への協力に前向きであることだ。私の見解では、ハイクビジョンとダーファはこの期待に全く応えていない」

「われわれは今、行動を起こす義務があるという見解で多くの人々が一致する局面を迎えている」とサンプソン氏は語った。

署名した67名の議員は、ハイクビジョン製やダーファ製の監視カメラの販売・使用禁止に加え、国内での監視カメラ使用一般に関する見直しも求めている。
政府調達法案にも働きかけ

BBWは、7月中に議会で審議される政府調達法案について、人権面で懸念のあるサプライヤーを排除する内容への修正を働き掛けている。

BBWの調査責任者を務めるジェイク・ハーファート氏は「中国政府の『人道に対する罪』に技術インフラを提供する企業が、英公的機関の61%に監視カメラを提供しているのは恐ろしいことだ」と述べた。

ハイクビジョンの広報担当者は、犯罪やテロを取り締まる政府機関への協力に「誇りを持っている」とコメントした。

「英国には国内で監視カメラを大幅に減らしたいと考える反主流派も存在し、監視カメラに言いがかりをつけたがり、ハイクビジョンを悪者にする目的で嘘をつこうとする」

ダーファはこれまで、地方や国ごとに適用される法律や国際法を全て順守していると表明、特定の民族グループを標的としたソリューションを開発することは決してないと説明している。

中国政府は、新疆ウイグル自治区で「テロの取り締まり」を行っているにすぎないと主張し、集団収容施設を「再教育」のためと位置付けている。

By Jim Pickard and Yuan Yang

(2022年7月4日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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