[FT]ウクライナ正教会、侵攻祝福のロシア正教会から独立

[FT]ウクライナ正教会、侵攻祝福のロシア正教会から独立
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB044690U2A700C2000000/

 ※ ちーとも、「オーソドックス(正統)」じゃなくなって来たな…。

 ※ まあ、「カトリック(普遍)」から「プロテスタント(抗議する人)」が生まれたわけだから、「オーソドックス(正統)」からも何かが生まれるんだろう…。

 ※ 対義語で、「ヘテロドックス(異端)」というものがあるが…。

 ※ お互いを「異端であーる。」と罵り(ののしり)合うのだけは、願い下げだ…。

『ウクライナ正教会の高位聖職者であるロンジン府主教が6月上旬、ロシア正教会トップのキリル総主教を批判した日曜礼拝での説教は手加減がなかった。
イースターの祭事を執り行うウクライナ正教会の高位聖職者=Sipa via AP Images

ロンジン府主教はかつて礼拝のたびに、自身の教会の親組織であるロシア正教会のトップのため、祝福の祈りをささげていた。

ところが今では、「人々が命を落とし、血が流れていること、我々の修道院や教会を爆撃していること、虐殺を祝福したこと」を巡り、プーチン・ロシア大統領によるウクライナ侵攻を支持するキリル総主教を痛烈に批判している。

「すべての母親の涙、新たに掘られた墓のために、あなたは主なる神に答えなければならない」とロンジン府主教は述べた。「あなたはウクライナ正教の世界全体を傷つけ、我々に痛みをもたらした。正当化しようとしてはならない」

キリル総主教に対する激しい批判は、ウクライナ最大の宗教組織の一つで戦争前はロシア文化の牙城だったウクライナ正教会における激変ぶりを示している。大部分がロシア語を話す司祭と教区民が今ではロシアを拒絶し、ロシア政府が「兄弟国」の一部と主張する人々の間でさえウクライナの新たなアイデンティティーが根を下ろしている。

キリル総主教はロシア軍のために新たに建てられた大聖堂でプーチン氏の軍事作戦への熱烈な支持を表明した。この戦争への支持で、ウクライナ正教会に対するロシアの支配が失われた。ウクライナ正教会に所属する1万2000の教区は、親教会であるロシア正教会の教区の約3分の1に相当する。
「独立は唯一の選択肢」

ウクライナ正教会は5月、トップのオヌフリイ府主教の下、臨時会議でモスクワ総主教庁からの独立を宣言し、独立は教区民が要求したことだと強調した。

教会広報担当のクリメント府主教は「キリル総主教が何も言わなかったら話は別だった。だが、総主教は毎週のように、教会へ通う人を含むウクライナ社会にとって受け入れがたいことを言っていた」と語った。「人々が教会を訪れ、彼の名前を聞くと、祈りの妨げになった」と話す。

戦争を受け、教会内で最も熱心なロシア支持者さえ忠誠心を見直さざるをえなくなった。ロシア系ウクライナ人のオリガルヒ(新興財閥)で、2020年にウクライナ正教会から助祭に任命されたバディム・ノビンスキ氏は何年も前から、プーチン氏が14年にクリミア半島を併合した後でさえ、ウクライナに対してロシアとの関係を修復するよう呼びかけてきた。だが、今ではロシアの「侵略」を非難し、キリル総主教が厄介者になったと認める。

「我々は罪人ではなく罪を非難しなければならない」とノビンスキ氏は語る。それでも「総主教が戦争について何も語らず、状況をありのままに伝えなかったことは非常に悪い。総主教がやったことすべてがここで起きている事態と相まって、我々の不利益になっている」と指摘する。

米フォーダム大学でキリスト教正教研究を専門とするセルゲイ・チャプニン上級研究員によると、ウクライナ正教会内の親ロシア派は今も強い力を持つ。数人の主教はロシア正教会との関係を断絶することに異議を唱えた。ロシアの支援を受けた分離独立派の支配下にあるドネツクは決定に従うことを拒んだ。クリミア半島の司祭らはキリル総主教の管轄下に入った。

それでも「モスクワ総主教の教えの下では、未来がなかった。教会は消滅するしかなかった」とチャプニン氏は話す。「独立は教会を救うためにオヌフリイ府主教が下せた唯一の決定だった」という。

ウクライナでは14年以降、正教会に対する政治的な圧力が強まっていた。その当時、一部の司祭はクリミア併合とロシア国境に近い東部ドンバス地方での戦闘を黙認していたようだった。

ウクライナ政府は教会を国家安全保障上のリスクと呼び、18年にはモスクワ総主教庁の管轄外に新たな「ウクライナ正教会(OCU)」を創設するよう要求した。これが過去500年以上で最大の正教会分裂につながった。

オヌフリイ府主教の教会は今もウクライナ最大の正教会で、教区数は新しいライバル教会OCUの約2倍に上る。だが、戦争が始まると、ウクライナ当局者の間でロシアが破壊工作に教会を利用するとの懸念が強まった。

ウクライナの治安部隊は、ロシア正教会の聖地で黄金のドームが輝くキーウ(キエフ)・ペチェールシク大修道院を何度も強制捜索した。
互いに相手を「異端」扱い

ウクライナのトカチェンコ文化相はキリル総主教との関係を絶つ教会の決定を称賛した。トカチェンコ氏は「人々はウクライナ正教会の司祭が戦争と誰が敵かについてより明確なメッセージを打ち出すのを待っている。これはもはや宗教の問題ではない。非常に政治的な問題だ」と語った。

だが、オヌフリイ府主教のウクライナ正教会と新しいライバル教会の和解を期待できるのは遠い先で、双方の教会の多くの人が相手側を異端と見なしている。

戦争が始まって以来、400以上の教区がOCUへくら替えし、なかには怒る教区民から移行を強要された教区もあった。首都キーウ郊外のファスティフでは、数人の司祭が暴徒を先導して地元の教会に乱入し、モスクワから支持されている修道院長を襲った。

だが、古い方の正教会は新しいOCUが望んでいるように聖地の支配権を明け渡すことには消極的だ。こうした聖地には、最も重要な聖遺物が祀(まつ)られていて真の正教会を名乗る古い方の教会の主張を裏付けるウクライナの修道院が含まれている。

前出のノビンスキ氏はOCUについて「彼らはどこから修道士を連れてくるつもりなのか。ギリシャか。向こうに行きたいと思った人はすでに移った。彼らには修道士もいなければ修道院もない。これは彼らが教会と呼ぶ組織が劣っていることを示す明らかな証拠だ」と語った。

OCUはキーウ・ペチェールシク大修道院内の聖堂の一つで礼拝を行うことを認めるよう政府に働きかけている。今のところ、ウクライナ正教会は施設を共有することを拒んでいる。

クリメント府主教は「彼らは祈りをささげるために大修道院を必要としているわけではない。トロフィーとして必要としている。ウクライナ正教会の何千人もの信者にとって大切で聖なるあらゆるものを見せびらかせることができるからだ」と語った。

しかし、18年に創設されたOCUに所属するトカチェンコ文化相は、国の結束の名の下に、このアイデアにお墨付きを与えた。

「衝突して分裂し続けることは困難だ。国にとって選択肢にならない」とトカチェンコ氏は語る。「これが文明的な解決策であることを説得するには恐らく一定の努力が必要になるが、ウクライナ社会が多くの期待を寄せているので、双方が対話しないわけにはいかない」

By Max Seddon

(2022年7月3日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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