英国、財務相・保健相が辞任 不祥事続く政権に反旗

英国、財務相・保健相が辞任 不祥事続く政権に反旗
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05E6A0V00C22A7000000/

『【ロンドン=中島裕介】ジョンソン英政権のスナク財務相とジャビド保健相は5日、相次いで辞任を表明した。不祥事が続く政権運営では、国民の支持を取り戻すのが難しいと判断した。新型コロナウイルスの行動規制下でパーティーを開いた問題への不信感が払拭できないなか、直近では過去に痴漢行為の疑いがある議員を党幹部に起用した件で批判されていた。

これまでも保守党内の反ジョンソン派からの批判は高まっていたが、2人の重要閣僚の辞任はジョンソン政権にとって今までにない打撃となる。英BBCはジョンソン氏が「非常に不安定な立場になった」と指摘。「1人の閣僚の辞任なら生き残れるが、2人の重要閣僚では難しいかもしれない」と分析した。ジョンソン氏は財務相の後任にザハウィ教育相を、保健相にはバークレイ首相首席補佐官を充てた。

ジャビド氏は5日のジョンソン氏への書簡で相次ぐ不祥事を受けて「良心を持って、この政府に仕えることはできない」と辞任理由を表明した。「この状況はあなたの指導下では変わらない。私の信任も失っている」とも述べ、ジョンソン氏に辞任を促した。

スナク氏も「国民は適切に、有能に、真剣に政権運営が行われることを期待している」と記した書簡をジョンソン氏に送り、相次ぐ不祥事が辞任理由だと示唆した。スナク氏は次期首相候補として名が挙がっていた。

スキャンダル続きのジョンソン政権では、直近でも党幹部人事を巡る不祥事があった。

与党・保守党のピンチャー副幹事長が泥酔して男性2人に痴漢した件で6月30日に辞任した。ピンチャー氏を巡っては2019年の外務担当の閣外相時代にも似た事例の苦情がジョンソン氏に寄せられていたが、それでも22年2月に副幹事長に起用した。当初、首相官邸はジョンソン氏がこの苦情を知らなかったと説明したが、5日になってジョンソン氏本人が「間違いを犯した」と発言を翻した。

6月にはコロナ規制下でのパーティー開催問題をきっかけに、ジョンソン氏の辞任を求める保守党議員が一定数に達して信任投票が行われ、4割超の議員が「不信任票」を投じた。トラス外相やウォレス国防相など他の閣僚は首相を支持する構えだが、ジョンソン政権の屋台骨が急速に揺らぎ始めている。
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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
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ひとこと解説

ユーガブの最新の世論調査では、「ジョンソン首相は辞任すべき」との回答が69%とパーティーゲートのスキャンダルが影響した今年1月時点の63%を超えて過去最高を更新した。保守党の支持者でも「辞任すべき」という回答が54%と初めて過半数を超えた。
同調査によれば、不支持率が圧倒的多数を占める状況にあっても、「首相が自ら辞任する」という回答は21%で、およそ3分の2が「生き残りを図ろうとする」と見ている。
保守党の政治家の人気に関するユーガブの別の調査、辞任したスナク財務相とジャビド保険相は、第1位のメイ前首相に続く、2位と3位。第4位のジョンソン首相を上回るが、全体に僅差、30%前後と低調だ。
2022年7月6日 8:53 』