ウクライナ復興、地域別に支援国 キーウは英国が担当

ウクライナ復興、地域別に支援国 キーウは英国が担当
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR04CEY0U2A700C2000000/

『【ルガノ(スイス南部)=細川倫太郎、白石透冴】スイス南部ルガノで開いたウクライナの復興を議論する国際会議は最終日の5日、復興の指針をまとめた成果文書「ルガノ宣言」を採択して閉幕した。デジタル化を軸に社会・経済の再興を図る構えで、地域別に担当国を決めて支援する構想も浮上した。ただ侵攻の長期化で再建コストが膨張する可能性もある。
復興会議に参加した各国の政府関係者(4日、スイス南部ルガノ)=ロイター

ルガノ宣言では復興は「ウクライナが主導する」と明記し、改革に重点を置くことや透明性を確保することなど7つの原則を確認した。

復興費用の総額は7500億ドル(約100兆円)と試算した。15の復興重点分野には防衛・安全保障やビジネスの活性化、エネルギー、医療保健などが含まれる。

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財源についてウクライナのシュミハリ首相は5日の記者会見で、欧米諸国が凍結しているロシアの資産を使うべきだと改めて強調した。「侵攻した国が復興費用を支払う仕組みができれば、(侵攻をためらうため)新しい安全保障のシステムになる」と説明した。

各国は地域ごとに支援にも乗り出す。ウクライナ政府の資料によると、複数の国が名乗りを上げ、英国は首都キーウ(キエフ)を含むキーウ州、トルコが東部ハリコフを担当する。被害が甚大かつ広範囲に及ぶため、担当国が主導し集中的に復興を進める狙いがある。

米国の名前は挙がっていないが、米国がこれまでに表明した支援額は国際社会全体の総額の半分以上を占める。復興でも中心的な役割を果たす可能性が高い。ウクライナ政府関係者の間には、自然災害が多くがれきの撤去などで復興の知見がある日本にノウハウ指導を期待する声もある。

復興の柱の一つがデジタル分野だ。戦闘が終結していない現在でも発展させられる分野として注目しており、ウクライナのフョードロフ副首相兼デジタル転換相は4日「2024~25年には最もデジタル化が進んだ国にしたい」と強調した。

司法・行政手続き、投票など公共部門の電子化を進めるほか、外国人でもバーチャルな空間で「国民」として登録できる制度などを立ち上げる。25年までにIT(情報技術)分野の国内総生産(GDP)比率を1割に高めることなどを掲げた。

会議に参加した欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は「ウクライナがこの戦争に勝利し、平和を勝ち取るために協力する」と述べ、復興のためのプラットフォーム(基盤)を設置すると表明した。各国政府や民間企業、国際機関などが参加し、ウクライナ支援の調整や投資ニーズの把握、資金調達に役立てる。
ロシア軍のミサイルで破壊された学校(4日、ウクライナ北東部ハリコフ)=AP

ウクライナでロシア軍の激しい攻撃が止まる兆しは見えない。ロシア軍はウクライナ東部のルガンスク州全域を制圧し、残るドネツク州などで侵攻を続ける。ウクライナ軍参謀本部は5日、ドネツク州北部のスラビャンスク近郊でロシア軍がミサイル攻撃や空爆を実施しているとSNS(交流サイト)で表明した。

英国防省は5日、ルガンスク州の制圧について「ウクライナ軍は今後、より防御しやすい場所まで後退する可能性がある」と分析した。

ウクライナ軍はもともと6月から反転攻勢のシナリオを描いていたが、米欧からの重火器の供給の遅れなどもあって東部などでは劣勢を強いられる。停戦交渉再開のメドもたたず、被害はさらに拡大する可能性が高い。再建には「最大1兆ユーロ(約140兆円)の支援が必要になる可能性がある」(欧州投資銀行のホイヤー総裁)との見方もある。

侵攻から4カ月以上が経過し、米欧の「支援疲れ」も懸念されるなか、ウクライナは復興の青写真を示すことで関心をつなぎ留める狙いがある。早急に復興を始めるには武器や資金提供など継続的な協力が欠かせない。

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