ロシア軍、ルガンスク州制圧 ウクライナ軍が撤退表明

ロシア軍、ルガンスク州制圧 ウクライナ軍が撤退表明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR034BR0T00C22A7000000/

『【ウィーン=細川倫太郎】ロシアのショイグ国防相は3日、プーチン大統領に東部ルガンスク州を「解放した」と報告し、同州全域を制圧したとの認識を表明した。ウクライナ軍が州内最後の拠点としていたリシチャンスクを支配下に置き、ウクライナ軍も撤退を認めた。ロシアは東部2州の支配を目指しており、隣接するドネツク州を巡る激しい戦闘が続く可能性が高い。

ルガンスク州での戦闘は、ロシア軍が6月下旬に要衝となっていたセベロドネツクを制圧して以降、リシチャンスクがウクライナ軍にとって最後の拠点となっていた。ロシア軍は地上部隊による激しい攻撃を続けてウクライナ軍を追い込んでいった。

ウクライナ国防相の報道官は3日、ロシア軍によるリシチャンスク制圧を一時否定したが、その後、軍参謀本部がSNS(交流サイト)に「このまま防衛を続ければ致命的な結果を招く。ウクライナ兵の命を守るため、撤退を決めた」と投稿した。

ロシアはルガンスク州とドネツク州を合わせたドンバス地域を掌握することを目指しており、ドネツク州への攻勢も強めている。同州の主要都市スラビャンスクで3日、大規模な砲撃があった。ロシアは隣接するルガンスク州全域を制圧したと宣言し、目標としている東部2州の支配に向け残るドネツク州に戦力を移しているとみられる。

ウクライナメディアによると、ドネツク州の報道官はスラビャンスクを狙ったロシア軍の砲撃で6人が死亡、15人が負傷したことを明らかにした。「極めて強力な砲撃があり、町に残るのは危険だ」と述べた。

市街地などへの無差別攻撃に歯止めがかからず、民間人の犠牲が拡大している。同州クラマトルスクの市長も3日、ロシア軍の砲撃が続いていると指摘し「民間人をターゲットにしている」と非難した。

ロシアは東部2州を早期に完全制圧し、徹底抗戦の姿勢を崩さないウクライナとの停戦交渉を有利に進めたい狙いがあるとみられる。一方、米国がウクライナに中距離の地対空ミサイルシステムの提供を決めるなど、同国の装備も拡充されつつある。

【関連記事】

・ゼレンスキー氏、住宅への攻撃「テロ」 南部で攻勢
・米、ウクライナ支援1100億円 中距離地対空ミサイル供与

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

上野泰也のアバター
上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
コメントメニュー

ひとこと解説

ロシア軍が数にものを言わせる力攻め的な猛攻で、ウクライナ東部ドンバス地方の2州のうち、ルガンスク州を完全制圧した。戦費負担・人的損害が膨らみ続ける中、自国の安全保障に資する地理的なバッファー地帯をある程度確保するという戦果が挙がっているので、そろそろ停戦に向けた動きを本格化するというのがロシアの立場からすれば本来は合理的な判断ではないかと、筆者は考えてしまう。だが、ロシア軍は引き続いて、もう1つのドネツク州の完全制圧に向けて、攻撃を続行するようである。5月29日にはロシアのラブロフ外相が、ドンバス地方の「解放」が「無条件の優先事項だ」と述べていた。停戦協議の機運は、まだ盛り上がってきていない。
2022年7月4日 7:30 』