ミャンマー軍政、強硬崩さず ASEAN特使訪問も手詰まり

ミャンマー軍政、強硬崩さず ASEAN特使訪問も手詰まり
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2895Y0Y2A620C2000000/

『【ヤンゴン=新田裕一、ハノイ=大西智也】ミャンマーを訪問中のカンボジアのプラク・ソコン副首相兼外相は3日、東南アジア諸国連合(ASEAN)特使としての訪問日程を終えた。ミャンマー軍事政権は強硬姿勢を崩さず、クーデターで拘束中の民主化指導者アウンサンスーチー氏との面会は今回も実現しなかった。ASEANの関与には手詰まり感が強まっている。

プラク・ソコン氏のASEAN特使としてのミャンマー訪問は3月に次いで2回目。6月29日にミャンマー入りし、30日に首都ネピドーでミンアウンフライン国軍総司令官と会談した。7月1日にはネピドーで7つの少数民族武装勢力、2日には最大都市ヤンゴンで7つの政党の幹部とそれぞれ面会した。

特使との面会に参加したのは国軍に協力的な武装勢力や政党が目立った。民主派の武装抵抗を支援する勢力や、スーチー氏が率いた旧与党・国民民主連盟(NLD)は含まれなかった。「スーチー氏との面会が認められず残念だ」。ミンアウンフライン氏との特使の会談後、カンボジア政府関係者はこう漏らした。

2022年のASEAN議長国を務めるカンボジアは、ミャンマー国軍が同国を実効支配しているという認識のもと、国軍との対話姿勢を重視してきた。6月22日にカンボジアの首都プノンペンで開いたASEAN国防相会議には、民主派を支持する市民団体が招待を見送るよう求めるなか、21年11月の同会議と同様に国軍が国防相に任命したミャトゥンウー氏を招待した。

カンボジアの対話姿勢に対し、国軍側には譲歩に応じる兆しはない。21年4月のASEAN首脳会議でまとめた「暴力の停止」「全ての関係者間の対話」など5項目の合意事項が履行される見通しは立っていない。

プラク・ソコン氏のミャンマー訪問を翌週に控えた6月22日には、国軍がスーチー氏を従来の軟禁先から刑務所内に新設した専用施設に収監した。プラク・ソコン氏はミンアウンフライン氏との会談で、スーチー氏の処遇改善を求めたとみられているが、国軍が応じる可能性は少なさそうだ。

ミャンマー情勢を巡り、ASEAN加盟国は分裂している。インドネシアやマレーシア、シンガポールは民主化路線への復帰を要求し、21年10月の首脳会議でミンアウンフライン氏の出席を拒否する流れをつくった。一方、ベトナムやタイなどのメコン各国は国軍主導の体制の中で事態改善を求める立場とみられている。

カンボジアの議長国任期は22年12月末までだが、具体的な成果を見いだせないまま任期の半分が過ぎた。国軍と民主派勢力の武力衝突が各地で続き、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると政変以後の国内避難民は推計75万人を超えた。外交筋は「ASEAN加盟国間でも失望感が広がっている」と話している。』