米、ウクライナ支援1100億円 中距離地対空ミサイル供与

米、ウクライナ支援1100億円 中距離地対空ミサイル供与
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0207N0S2A700C2000000/

『【ワシントン=中村亮】米政府は1日、ウクライナに対して8億2000万ドル(1100億円)相当の武器を供与すると発表した。中距離の地対空ミサイルシステム「NASAMS」2基や高機動ロケット砲システム「ハイマース」の弾薬を供与する。

米国防総省によるとロシアが2月下旬にウクライナへ侵攻してから、米国がウクライナ向けに供与を決めた武器の総額は69億ドルにのぼる。

国防総省高官は7月1日、記者団に対して「ウクライナが防空システムを旧ソ連製のシステムから近代技術を使ったシステムに移行するための支援を始めることが重要だ」と述べた。ウクライナは旧ソ連製の地対空ミサイルシステム「S300」を運用している。NASAMSは米国とノルウェーが共同開発した。

NASAMSの供与でウクライナ軍の防空能力を高める。高官はS300の予備部品の調達が難しくなるとの見通しを示し、米欧製への切り替えが必要になっているとも指摘した。

米国は6月下旬ごろ、ハイマースをウクライナ軍に引き渡した。高官は「ハイマースは正確で射程が長いため、ウクライナは慎重に標的を選んで、これまでよりも系統的にロシアの試みに対抗できるようになった」と指摘した。ウクライナ軍がロシア軍の指揮所の攻撃にハイマースを使ったと言及した。

ハイマースに搭載した弾薬の射程は70キロメートルほどで、米国がウクライナに提供してきたは155ミリりゅう弾砲(射程約30キロメートル)よりも長い。

高官はウクライナ東部での戦闘について「いまだに激しい消耗戦だ」と話した。ルガンスク州でウクライナ軍の最後の拠点とされるリシチャンスクで激しい戦いが続くと説明。「ロシアは多大な犠牲を払いながら、獲得できる領土はとても小さいことを示す事例だ」と言明した。「ウクライナが大きな犠牲を払っている」とも語った。

ウクライナ中部ポルタワ州では6月下旬、ショッピングセンターに対してミサイル攻撃があった。高官はロシア軍が対艦ミサイルを使ったとの分析を示した。「都市部の地上の標的に対する正確さを最適化した兵器ではない」と指摘。「多大な巻き添えの被害につながるひどいやり方で兵器を使っていることを示す事例だ」と非難した。

高官はロシア軍が対艦ミサイルを使った理由についてコメントを避けたが、ロシア軍で精度の高い対地攻撃ミサイルの在庫が不足している可能性がある。』