円安・資源高の影響どこまで 日銀短観をチャートで点検

円安・資源高の影響どこまで 日銀短観をチャートで点検
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『日銀は1日、6月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表した。景気の変化を敏感に映すとされ、政策当局者や市場関係者が注目している統計だ。短観は企業の景況感のほか、為替レートや設備投資計画まで幅広くカバーしている。チャートを使いながらポイントをまとめた。

ポイント①製造業は悪化、非製造業は改善

日銀は短観を年4回公表している。全国約1万社の企業へのアンケート調査を実施し、回答率も比較的高い。政府や日銀はさまざまな経済統計を発表しているが、そのなかでも短観は速報性にも優れるとされる。

一番の注目は企業が現状や先行きの景気をどうみているかだ。1日発表の日銀短観では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は前回の3月調査から5ポイント悪化し、プラス9となった。日銀は景気について「良い」「さほど良くない」「悪い」の3択で企業に聞いて業況判断を算出している。

大企業製造業の景況感が悪化した理由は主に2つある。一つは原材料コストの高止まりだ。もう一つは中国のロックダウン(都市封鎖)による供給制約で物流が滞ったことだ。自動車の減産も影を落としている。

さらに業種別にみていくと、木材・木製品、鉄鋼、はん用機械の3業種の落ち込みが大きかった。資源高に加え、円安もあって仕入れコストが高止まりしている影響を受けた。

一方で、大企業非製造業は新型コロナウイルスの感染状況の落ち着きを背景に、2期ぶりに改善しプラス13となった。改善幅が大きかった3つの業種はいずれもコロナ禍で苦戦を強いられた。対面でのサービスが可能になり、対個人サービスは大きく回復した。県域を超えた旅行などが活発になり、宿泊・飲食サービスや運輸・郵便の回復ぶりが目立つ。

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ポイント②原材料高、販売価格へ転嫁

エネルギー価格の上昇や円安の進行でどのような影響が出ているのだろうか。それが分かるのが、仕入れ価格判断と販売価格判断だ。仕入れ価格について「上昇」と回答した企業の割合から「下落」の割合を引いた「仕入れ価格判断DI」は大企業製造業でプラス65と7ポイント上昇した。2008年に原油価格が高騰した時を上回った。企業の仕入れコストが急上昇していることが分かる。

販売価格について「上昇」と回答した企業の割合から「下落」の割合を引いた「販売価格判断DI」は10ポイント上昇のプラス34と、1980年5月以来の高水準だった。日本の企業は仕入れコストを販売価格に転嫁することに慎重だが、値上げの動きが強まっていることがグラフからもうかがえる。

注意したいのは、販売価格判断は仕入れ価格判断を常に下回っていることだ。企業側は販売減を恐れ、価格転嫁を避けてきたことが背景にある。販売価格に転嫁しているとはいえ、企業の収益を圧迫している可能性がある。

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ポイント③想定レートより円安に

事業計画の前提となっている想定為替レートも注目点の一つだ。想定為替レートは実勢レートよりもかなり円高水準に設定している。輸出企業は利益の上振れが期待できる半面、輸入企業は原材料費が上がっているのに加え、円安がさらなるコスト上振れ要因となる。市場では当面はドル高・円安基調が続くとの見方が多い。為替の動向が企業の業績の変動要因となるかもしれない。

そのほかの調査項目では、22年度の経常利益の計画は全規模全産業で前年度比3.6%減になる見通しだ。設備投資計画は14.1%増と3月調査(0.8%増)から上方修正となった。

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