[FT]スコットランド首相、英国最高裁と総選挙で独立争い

[FT]スコットランド首相、英国最高裁と総選挙で独立争い
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※ 英国(連合王国)は、大きく4つの地方に分かれる…。

※ さらに、こういう風に細分化されるらしい…。

『英北部スコットランド行政府(地方政府)のスタージョン首相が地域の独立を目指す2度目の住民投票の日程を定め、英最高裁に申し立てる方針を決めた。この決定はスコットランド議会に激震を走らせたが、合法的な住民投票を実施する力を得たわけではない。
英北部スコットランド行政府のスタージョン首相=ロイター

だが、スタージョン氏はこれで違法な住民投票を画策しているとして同氏を批判する反対勢力から攻撃材料を奪い、スコットランド人自らが未来を決める権利を巡り、潜在的に票を稼げる英政府との衝突の舞台を整えてスコットランド民族党(SNP)の支持基盤にアピールする。

英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのジョー・マーケンス准教授(法学)は「政治的な戦略は、ロンドンのエリートは自己決定に関する住民投票を実施する権利をスコットランド人に認めないと言うことで、これが独立の大義を強める可能性がある」と語る。

さらに「頭の片隅では、(スタージョン氏の)SNPは実際のところ、英議会にノーと言ってほしいとの思惑が働いているのかもしれない。スコットランドが自己決定を行使する権利を奪われているという党の説明に沿うからだ」と指摘する。

スタージョン氏が投票日に選んだ2023年10月19日は、スコットランド人が前回、イングランドとの連合を解消するか否かについて投票してから9年あまり経っている。前回の住民投票では、「残留」と回答した側が10ポイント差で勝利した。
住民投票実施を決める法的権限持つのは中央政府

投票実施を決める法的権限を持つのはジョンソン英首相率いるロンドンの中央政府で、住民投票を再度実施するには、まだ十分な時間がたっていないと主張している。だがスタージョン氏は、スコットランド人の62%が欧州連合(EU)残留に投票したにもかかわらず、地域をEUから離脱させた16年の英国民投票が住民投票を再度実施することを正当化していると訴える。

スタージョン氏は6月28日、ジョンソン氏の反対を押し切って住民投票を実施する適法性について英最高裁の裁定を求めるよう、スコットランドの法務長官ドロシー・ベイン氏に指示したと明らかにした。

さらに、もし法廷で敗れたら、英国の次の総選挙を「事実上」の住民投票にするとの考えを示した。

これはリスキーな戦略だ。総選挙を独立をめぐる単一の争点の戦いにすると、穏健派の有権者を遠ざけてしまい、19年の総選挙でスコットランド選挙区の59議席中48議席を勝ち取ったSNP下院議員の一部が職を失うことになりかねないからだ。

だが、スタージョン氏は、2年間スコットランドの新型コロナウイルス対策に専念してきた後、支持基盤を活性化させる必要性がリスクよりも大きいと計算したのかもしれない。
英総選挙を住民投票の代替とする案も

エディンバラに本社を構えるシンクタンク、ヨーロピアン・マーチャンツのアントニー・サラモーニ社長は「SNP党員とより大きな独立運動から行動を迫る圧力が続き、さらに大きくなっている」と語る。

さらに、SNPが「独立の主張に基づいて選挙に勝ち続けた場合」、総選挙を非公式な住民投票とすることで、住民投票の承認を絶えず拒む英議会の姿勢が政治的に持続不能になると説明する。

スタージョン氏は以前、スコットランド行政府が再び住民投票を実施する法的な権利は「争われている」と認めた。一方、法律の専門家は、そのような投票を承認できるのは英政府だけだという点で法は明確だとの主張を展開してきた。

またスタージョン氏は、いかなる住民投票の実施も法律として制定されること、そして投票が「ただの意見」ではないことを担保するために英最高裁に申し立てる必要があったと主張してきた。その場合でも、ジョンソン氏や将来の英首相に結果を尊重させる法的な道筋は存在しない。

それでも最高裁の承認が得られれば、投票の信頼性が高まり、英政府と連合維持派の政党が住民投票の要求を退け続けるのが困難になる。
最高裁が秋に審理か

14年の住民投票に先駆け、当時のキャメロン英首相の交渉チームを率いたキアラン・マーティン氏は「スタージョン氏は英政府を表舞台に引っ張り出し」、スコットランドの自己決定権について議論させようとしていると語る。「独立は政治的なプロセスであり、彼らは政治的な争いに打って出ている」

どのような結果になろうと、SNPはこれで中心的な支持基盤に対し、党がスコットランド独立という最大の目標を見失っていないことを示せる。

英ストラスクライド大学のジョン・カーティス教授(政治学)は「もし(住民投票を)阻止されれば、それは勝利になる。彼らはこれをスコットランドの民主主義が尊重されていない証拠と見なし、市民に提示できるからだ」と話す。

スタージョン氏は、もし自身の要求が拒まれれば、それは「英議会の法制度」のせいであり、「民主主義を否定する英政府と英首相をいただくことは究極的に、私の問題である以上にはるかに彼らの問題だ」と述べている。

最高裁はまだ、スコットランド行政府の申し立てをいつ審理するか明らかにしていないが、秋に審理が始まり、10月のSNP党大会と時期が重なる可能性がある。それもまたスタージョン氏にとって好都合かもしれない。

SNPの英下院議員で、2度目の住民投票の要求に慎重な党の姿勢にこれまで批判的だったアンガス・マクニール氏は、スタージョン氏の行動は「法的な情勢を試す正しい戦略だ」と語る。さらに、次の総選挙を独立に関する代理投票として利用する「政治的な解決策」が必要になるのは、最高裁が2度目の住民投票に反対した場合に限られるとしている。

「国民の意思に進んで耳を傾ける英議会が望まれる。人々が勝手に走り回り、一方的に独立を否定することは許されない」と強調する。

By Lukanyo Mnyanda

(2022年7月1日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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