大企業製造業の景況感、2期連続悪化 6月日銀短観

大企業製造業の景況感、2期連続悪化 6月日銀短観
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『日銀が1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は前回の3月調査から5ポイント悪化し、プラス9となった。2四半期連続で悪化した。原材料コストの高止まりと中国のロックダウン(都市封鎖)による供給制約の強まりが景況感を押し下げた。大企業非製造業は新型コロナウイルスの感染状況の落ち着きを背景に、2期ぶりに改善しプラス13となった。

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業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値だ。6月調査の回答期間は5月30日~6月30日。回答基準日の6月13日までに企業の7割台半ばが答えた。

大企業製造業の業況判断DIはプラス9と、QUICKが集計した市場予想の中央値(プラス12)を下回った。ロシアのウクライナ侵攻後初の短観だった前回3月調査で7期ぶりの悪化に転じたが、今回も低下し2期連続の悪化となった。

エネルギーを中心とした資源高と円安の進行による原材料コストの増加が、企業の収益を下押しする要因になっている。ただ、価格転嫁の動きも広がってきており、大企業製造業の販売価格判断DIはプラス34と、1980年5月以来およそ42年ぶりの高水準だ。企業の消費者物価見通しも上振れてきており、大企業製造業の1年後の見通し平均は前年比2.0%上昇、全規模全産業は2.4%上昇となっている。どちらも調査を始めた2014年以降で過去最高だ。

6月調査では中国のロックダウンで生産や物流が停滞した影響もあり、自動車や生産用機械などの景況感の悪化が目立った。自動車はマイナス19と3月調査から4ポイント悪化、生産用機械はプラス34と9ポイント悪化した。供給制約の影響については一時的との見方が多く、大企業製造業の先行きの業況判断DIはプラス10と、足元から小幅に改善すると想定している。

大企業非製造業の業況判断DIはプラス13と市場予想(プラス13)と同じ水準だった。3月下旬にまん延防止等重点措置が全面解除されたことで、対個人サービスや宿泊・飲食サービスが改善した。先行きはプラス13と足元から横ばいが続く見通しだ。

企業の事業計画の前提となる2022年度の想定為替レートは全規模全産業で1ドル=118円96銭と、3月調査(111円93銭)から円安方向に修正された。ただ、足元の円相場は1㌦=135円台で推移しており、修正された想定レートよりも大幅な円安水準にある。

22年度の経常利益の計画は全規模全産業で前年度比3.6%減になる見通しだ。設備投資計画は14.1%増と3月調査(0.8%増)から上方修正した。

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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分析・考察

大企業・製造業に関しては、供給制約や原材料高などの悪材料が目立つ一方で、上場企業21年度(22年3月期)決算で円安メリットを反映した自動車や電機の好決算が目立っていた。今回の日銀短観では前者が勝った形であり、業況判断DIは悪化した。原材料価格の高騰をどこまで販売価格に転嫁していけるのか。製造業の経営者の悩みは深い。一方、大企業・非製造業では、業況判断DIは改善した。まん延防止等重点措置の全面解除をうけて、対面型サービス関連の業況が4-6月期は改善方向に動いた。その一方で、オンラインへのシフトが追い風の「通信」「情報サービス」では景況感がやや陰り、非製造業全体の改善幅はさほど大きくならなかった。
2022年7月1日 11:37

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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説

①業況判断指数をみると、大企業では製造業の悪化(前回比▲5)と非製造業の改善(同+4)が特徴です。そして大企業全体では前回と変わらず。
②むしろ注目したいのは中堅企業や中小企業が前回より小幅改善したことです。
③その結果、全業種・全産業(要するに調査対象企業すべて)でみると、業況判断指数は前回の0から、今回は+2に上向いています。
④仕入れ価格判断指数の上昇に沿って販売価格指数が上昇するようになった。つまり価格転嫁の動きが広がってきたことが、③の背景にあるようです。
⑤円安や仕入れ価格の上昇で中小企業は大変。そんな紋切り型の報道はデータに基づいて修正する必要があるかもしれません。
2022年7月1日 10:39 (2022年7月1日 11:35更新)』

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