核合意再建協議が再開 イラン「経済利益が重要」

核合意再建協議が再開 イラン「経済利益が重要」
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『【ドバイ=福冨隼太郎】イランの核合意を巡る米国とイランの間接協議が28日、カタールの首都ドーハで再開された。合意に至れるかは依然不透明だが、イラン側は米国からの制裁解除で経済への打撃を食い止める狙いがある。7月には米バイデン大統領が中東を歴訪する予定で、対イラン包囲網の構築を懸念した可能性もある。

「イランにとって重要なのは(制裁の解除で)経済的な利益を得ることにある。米国の公平な行動を望む」――。イランのアブドラヒアン外相は、核合意再建交渉の再開に先立ってこう強調した。協議は欧州連合(EU)の協議担当者が米国とイランの担当者とそれぞれ会って進める。

米国はトランプ前政権時代の2018年に核合意から離脱した。核合意はイランが核開発を制限するのと引き換えに欧米からの制裁を解除する多国間の取り決めだが、米国は離脱後にイランの原油取引の制限や金融制裁などを科した。

再建交渉は合意当事国の一つであるロシアのウクライナ侵攻後の3月中旬以降は止まっていた。6月には国際原子力機関(IAEA)理事会が、米国などが主導したイラン非難決議を採択。イランは反発を強めていた。

しかし、25日にEUの外相にあたるボレル外交安全保障上級代表がテヘランでアブドラヒアン氏と会談し、協議の継続を確認した。ボレル氏は「近く協議が再開する」との見通しを示していた。

バイデン氏は7月の中東歴訪で、イランと対立するイスラエルやサウジアラビアを訪問する予定だ。米国は長年対立してきたイスラエルとサウジの緊張緩和も模索する。イランは自国の包囲網が構築される前に、合意再建に前向きな姿勢を国際社会に示そうとしているとみられる。

英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のサナム・バキル氏は「米国が地域の対立激化を防ぐために、間接協議を再開させた」と指摘する。イランでは5月に革命防衛隊の幹部が殺害されるなど軍人らの不審死が相次ぎ、イスラエルの関与を疑うイランは報復する姿勢を示している。

米国にはイランとロシアの関係強化をけん制する狙いもあるとみられる。23日にはアブドラヒアン氏がロシアのラブロフ外相とテヘランで会談し、経済分野の協力を進めることで一致していた。』