中国の対外債務6年ぶり減少 3月末、景気悪化懸念で

中国の対外債務6年ぶり減少 3月末、景気悪化懸念で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM271QB0X20C22A6000000/

『【北京=川手伊織】中国の政府や商業銀行が3月末、海外からの債務を減らしていたことが分かった。ドル建てで2021年12月末を1.3%下回り、6年ぶりに減少した。新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で景気悪化の懸念が強まり、海外投資家が中国の国債などを売り越した。ロシアのウクライナ侵攻に伴う貿易の停滞も響いた。

中国国家外貨管理局が四半期ごとに対外債務の動向を示す「全口径外債」をまとめている。24日に発表した3月末のデータによると、対外債務の残高は2兆7102億ドル(約368兆円)だった。

内訳をみると、広義の政府部門が0.4%減り、5年ぶりのマイナスとなった。海外投資家が中国国債などの売却を進めたためだ。景気悪化への懸念のほか、米利上げ観測をうけ、米中の金利差が縮まった影響も大きい。

中国の商業銀行の対外債務も2.6%減った。大和総研の斎藤尚登主席研究員は「ウクライナ問題の台湾有事への連想などから、海外の金融機関が中国との取引を控えたことが影響している」と分析する。

輸入の停滞も対外債務が落ち込んだ一因だ。中国企業が商品を輸入してから代金を払うまで一時的に生じる買掛債務を、対外債務として計上するためだ。

短期の買掛債務は4.9%減った。新型コロナが初めて中国経済に打撃を与えた20年3月末(10.3%減)以来の減少率を記録した。

3月中旬に広東省深圳市がロックダウン(都市封鎖)に踏み切り、航空運輸など貿易物流が打撃を受けた。3月の輸入額は前年同月比でほぼ横ばいにとどまった。

中国では3月末に上海市もロックダウンに追い込まれ、4月に景気が大きく悪化した。同市は6月1日にロックダウンを解除し、中国経済も足元では正常化に向けて動き出している。

中央銀行関係者は「海外投資家の債券売り越しは5月にほぼ止まり、6月は買い越しに転じたとみられる。海外機関投資家も分散投資の観点から中国の債券を一定程度、組み入れざるを得なくなっている」と語る。』