デフォルト迫る社会主義ラオス SNSで政府批判強まる

デフォルト迫る社会主義ラオス SNSで政府批判強まる
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『【バンコク=マルワーン・マカンマルカール】言論を厳格に統制してきた社会主義国ラオスで、政府の経済政策を巡る国民の批判がSNS(交流サイト)で目立ってきた。中国などからの過剰債務で通貨が下落し、燃料不足や食料品価格の高騰が起こっているためだ。デフォルト(債務不履行)に陥る可能性を指摘する金融機関もある。

米政府系ラジオのフェイスブックのページには6月「ラオス経済崩壊」という見出しの記事が掲載された。ラオス市民らのコメントは1100件を超えた。「経済を管理できない政府はいらない」といった批判もあり、一党独裁の同国の指導者に対する不満が噴出した形だ。

ほかのSNSにも市民らの怒りの声はあふれる。首都ビエンチャンのラオスウオッチャーの多くは、1970年代半ばから政権を担ってきたラオス人民革命党に対し、なかなか意見を表明できなかった市民らが勇気を示した、まれなケースだと説明する。

ラオスウオッチャーの一人は「経済危機が日常生活に打撃を与えるようになり、市民らは(政府を)恐れず、公然と批判するようになった」と指摘する。「ラオスのような抑圧的な政治環境の国で、SNSは不満を表明できる唯一の手段だ」とも話す。

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ラオスの経済危機はこの数カ月で目に見えるようになった。ビエンチャンなどでは給油のためガソリンスタンドの前に自動車が長い列を作り、通貨キップの対ドル相場下落で(輸入品が多い)食料品や生活必需品の価格が高騰した。

外国の複数の格付け会社は6月、ラオスは過去数年間の財政・経常収支の赤字で支払い能力が危惧され、デフォルトの可能性が高まってきたと指摘した。ラオスと同じく中国から多額の投融資を受けるスリランカが4月、年内に期限を迎える対外債務を履行するための外貨を使い果たしたと発表したが、これとよく似た経済危機だ。

ラオス政府も自国経済の危機を認める。パンカム首相は最近、国会でSNSを通じた市民らの不満を認識していると答弁した。ブンチョム財務相は20日「10年から16年にかけて国家発展のために多額の資金を借り入れた」ため、莫大な債務が積み上がったと話した。

対外債務の年間の返済額は22年、10億ドル(約1350億円)を超えると見込まれている。「10年は1億6000万ドルにすぎなかった」とブンチョム氏は明かした。

複数のアナリストによると、ラオスの経済危機には「外部要因」も影響した。20年に始まった新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大はラオスを訪れる外国人観光客の減少を招いた。ロシアによる2月のウクライナ侵攻で原油価格が上がり、米国の利上げでラオス通貨の相場が下がり、輸入品の価格を引き上げた。

ラオスの中央銀行総裁は最近、更迭された。

世界銀行によると、21年末時点でラオスの公的債務は国内総生産(GDP)比で88%に高まった。対外債務は推定145億ドルで、このうち対中国が47%を占める。中国はこの10年間で、ラオスにとって融資、投資、貿易の相手として最大になった。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは6月、ラオスの格付けをCaa2からCaa3へと一段階引き下げた。フィッチ・レーティングスは21年8月からのCCCを維持するが「デフォルトの可能性はある」と指摘している。

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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Economy/Laos-faces-public-backlash-as-economy-teeters-toward-default/?n_cid=DSBNNAR 』