「出ばなくじかれた」 トヨタとSUBARU、新型EV販売停止

「出ばなくじかれた」 トヨタとSUBARU、新型EV販売停止
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD244RT0U2A620C2000000/

『トヨタ自動車とSUBARU(スバル)が5月に発売した新型の電気自動車(EV)の提供を止めた。国内では日産自動車が軽自動車のEVを投入するほか、世界でも競合がしのぎを削る。トヨタとスバルにとっては今後のEV戦略の試金石となる新型車だけに、発売後1カ月ほどでの急ブレーキに、販売店などから困惑の声が広がっている。

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新型EVは両社が共同で開発し、トヨタが生産する車両だ。トヨタは「bZ4X」、スバルは「ソルテラ」という車名で売る。元町工場(愛知県豊田市)で製造する。トヨタは今後、EV専用のラインを整備する方針だが、現時点ではハイブリッド車(HV)など複数の車種が流れる「混流」で立ち上げた。EVとHVは部品が違うため、混流の難易度は高いという。

今回、タイヤを車両に固定するボルトが外れて脱輪の可能性があるとして、国内ではリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。問題がボルトの強度なのか、車両なのか、締め付け工程や設計なのか、といったことは明らかになっていない。新型EVで使われているボルトの締め方は、トヨタにとっては比較的新しい。だが、既にレクサス車に導入済みで、これまでリコールはない。

新型EVの開発が本格的に始まったのはスバルの技術者がトヨタに出向した19年で、開発期間は約3年間だ。車台から新たに開発した車両の開発期間としては短い。

ソルテラ開発責任者の小野大輔プロジェクトゼネラルマネージャーは「EVの共同開発はトヨタにとってもスバルにとってもこれまでにはない新しい取り組み。出向してトヨタの社員となることで、短期間での共同開発をやり切った」と説明していた。トヨタとスバルは今回の問題がEVならではの課題なのかどうかを含めて原因究明を進め、対策を打つ方針だ。

トヨタはグループ会社の「KINTO(キント)」を通じて、サブスクリプション(定額課金)サービスの申し込みを5月から始めていた。今回の問題を受け、東京都や大阪府、愛知県で予定していた試乗会を中止した。大阪は23日にスタート予定だったが、急きょ取りやめた。

EVは消費者にとってまだなじみが薄く、試乗会で実際に乗ってもらうことを最重要の販売戦略と位置づけていた。キントが5月に神奈川県で開いた試乗会では約200組が乗車し、約1000組に接客したという。ある販売店幹部は「やっと納車というところで納期延期の説明をしなければならない」と肩を落とす。

スバルのある販売店社長は「いよいよ納車が始まるタイミングだったので、出ばなをくじかれ非常にショックだ」と表情を曇らせる。顧客への説明はまだ。別の販売店幹部は「タイヤのボルトという初歩的なところでのリコールであり、短期間で共同開発することの難しさを感じた。これだけで終わってくれるといいが」と話す。

24日のトヨタ株は前日比1%安の2111円50銭で取引を終え、日経平均株価の1%高に対し逆行安となった。東海東京調査センターの杉浦誠司氏は「リコールの株価影響は台数規模からすると限定的。利益確定売りが先行した形だろう」と指摘する。一方、ボルトのような基礎的な箇所でのリコールに「トヨタのEVにレピュテーションリスク(評判を害する危険)が生まれてしまった」とも話した。』