中国念頭、多国間外交を拡大 日韓豪NZが首脳会談調整

中国念頭、多国間外交を拡大 日韓豪NZが首脳会談調整
クアッドに続き 太平洋諸国との枠組みも近く発足へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA236WR0T20C22A6000000/

『岸田文雄首相は29日の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議への出席にあわせ、韓国やオーストラリア、ニュージーランド(NZ)との4カ国首脳会議を調整する。インド太平洋地域で勢力圏拡大を試みる中国を念頭に、民主主義国家で結束する多国間外交を広げる。

日韓豪NZの4カ国の首脳はスペインで開くNATO首脳会議にそろって参加する。4カ国ともにNATOのアジア太平洋地域の「パートナー国」で日本政府内で「AP4」と呼ぶ。一致してアジア太平洋の安全保障へのNATOの関与を働きかける見通しだ。

首脳会議は日本が打診した。安保協力を深める日豪に近隣の韓国やNZを加え、自由や法の支配、人権など価値観を共有する国同士の連帯を示す。この枠組みに米国が加わる案も浮上する。

4カ国とも中国の脅威を意識する。韓国は核・ミサイル開発を進める北朝鮮と中国の協力を警戒する。豪州やNZと関係が深い太平洋の島しょ国では中国の影響力が増す。キリバスで滑走路の整備計画を進め、ソロモン諸島と4月に安保協定を結んだ。

中国は5月に太平洋の10カ国との外相会議で安保を巡る新協定も提案した。合意に至らなかったものの中国による軍事関与への懸念が広がった。

インド太平洋地域で日本が参加する枠組みには日米豪とインドの4カ国による「Quad(クアッド)」がある。首脳間の協議は2021年3月にオンラインで初めて開き、同年秋には米国で対面開催した。この5月には東京での首脳会議で定例化した。

グループ外交を重視する背景に安保上の危機に国際機関が十分に対処できていないとの問題意識がある。ロシアのウクライナ侵攻を巡って国連安全保障理事会は拒否権の行使などで機能不全が指摘された。

経済・軍事で実力を高めた中国に米国だけで対処するのが難しくなってきた事情もある。米国自らインド太平洋で多国間のグループの構築に動く。

近く米国が主導し日豪NZや英国、フランスも参加する太平洋諸国との新たな枠組みを発足する。不審船や違法漁業対策、気候変動問題への対応、インフラ開発など島しょ国への支援を念頭に置く。まず事務レベルで具体策の協議を進める。

バイデン米大統領の来日にあわせ、5月には新たな経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を始動した。日米韓豪NZやインド、東南アジア諸国など計14カ国が入る。

米国は21年9月には英豪と3カ国で安保協力を深める「AUKUS(オーカス)」も創設した。

首相はNATO首脳会議への出席を通じ、対ロシア制裁やウクライナへの支援を続けることや日本の防衛力強化への決意を訴える意向だ。「いかなる地域でも力による一方的な現状変更は認めない」と強調する。

インド太平洋と欧州の安保は連動を深める。日本は欧州への協力姿勢をみせつつ、ウクライナ侵攻と重ねて中国の台湾侵攻を防ぐための抑止力強化を促す。

欧州側には目の前のロシアの脅威にアジアのパートナー国を交えたNATOの機能強化で対処力を高める意図がある。NATOの戦略文書を改定し、初めて中国について盛り込む方針だ。
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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/Indo-Pacific/Japan-PM-to-flex-muscles-for-Indo-Pacific-security-at-NATO-summit?n_cid=DSBNNAR 』