サル痘「国内での感染は確認されず 天然痘ワクチン備蓄」厚労相

サル痘「国内での感染は確認されず 天然痘ワクチン備蓄」厚労相
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/83360.html

『(2022年5月27日)

欧米を中心に患者の確認が相次いでいる「サル痘」について、後藤厚生労働大臣は、日本国内での感染は確認されていないとしたうえで、感染予防に有効だとする報告がある天然痘ワクチンをテロ対策の一環として国内で生産・備蓄していることを明らかにしました。
欧米を中心に患者の確認が相次いでいる「サル痘」について、後藤厚生労働大臣は、閣議の後、記者団に対し「『サル痘』は、現在ヨーロッパなどで感染例が確認されているが、先進国では死亡例は報告されていない。わが国では、感染症法上は『4類感染症』として全数届け出の対象となっているが、日本国内での感染は確認されていない」と述べました。

また、感染予防に天然痘ワクチンが有効だとする報告があるとしたうえで、国内での確保状況について「テロ対策の観点から、国内において生産・備蓄を行っているが、具体的な確保量などについては危機管理上の理由から公表を差し控えている」と説明しました。

さらに、後藤大臣は、今後の対応について「過去の流行とは異なる面がある一方、もともと人から人への感染はまれともされており、患者の発生動向や最新の知見に基づき検討していくことが必要だ。引き続きWHO=世界保健機関などとも連携しながら情報収集に努めており、国内外の発生動向も監視しつつ必要な対応を講じていく」と述べました。
「サル痘」患者200人以上確認 欧米各国 ワクチン確保進める

欧米を中心に「サル痘」の患者が200人以上確認される中、スペイン政府は25日、サル痘にも有効な天然痘のワクチンを購入すると明らかにしました。ドイツやイギリスなどもワクチンの確保を進めていて、感染拡大への警戒を強めています。

ECDC=ヨーロッパ疾病予防管理センターは25日、EU域内で確認されたサル痘の患者はこれまでに12か国で118人に上ると発表しました。

また、イギリスでも患者が増え78人に達したほか、カナダやアメリカ、オーストラリアなどもあわせると世界各国で200人以上の患者が確認されています。

こうした中、51人の患者が確認されているスペインのダリアス保健相は25日、デンマークの製薬企業からサル痘にも有効な天然痘のワクチンを購入すると発表しました。

購入したワクチンの量は明らかにしていませんが、国内すべての州に配布し、接種の準備をすすめるとしています。

このほかドイツ政府は感染の拡大に備え、4万回分の天然痘ワクチンを発注したことを明らかにしたほか、イギリス政府も患者と濃厚接触した人や医療従事者などに接種する態勢を整えています。

また、これまでに3人の患者が確認されているアメリカは、CDC=疾病対策センターが「必要に応じ政府が備蓄しているワクチンを接種する用意がある」としていて、サル痘の感染拡大に各国は警戒を強めています。
専門家「感染経路の詳しい調査を」

欧米などでサル痘の感染の報告が相次いでいることについて、サル痘に詳しい岡山理科大学の森川茂教授は、「アフリカでは、サル痘のウイルスを持つげっ歯類が森林にいて、野生動物に触れた人が感染する状況が起きやすく、アフリカから帰国した人が発症するケースがある。通常は感染しても、別の1人にうつるくらいだったが、今回のように感染がアフリカの外で90人にも広がるのは初めてで、警戒しなければいけない。なぜ、これだけ感染者が増えているのか、どのような感染経路で広まったのか、詳しい調査が待たれるところだ」と話しています。

サル痘の症状については、皮膚に発疹が出たあと、重症の場合は発疹が全身に出たり、高熱が出て免疫の機能が低下したりするということです。

年齢が低いほど重症化のおそれがあるということですが、先進国ではサル痘で死亡したケースがほとんどなく、詳しくは分かっていないとしています。

森川教授は、天然痘が撲滅される前の1976年まで子どもなどに接種されていた天然痘のワクチンが予防には有効だとしたうえで、「それより上の世代で2回以上接種を受けている人は数十年たっても免疫が残っているとされる。日本には、非常に有効で副反応がほとんど出ない安全なワクチンがある。バイオテロ対応の国家備蓄用ワクチンとして作られているので、今は一般の人は入手できないが、かなりの製造能力はある。治療法については対症療法しかないが、アメリカでは治療薬がすでに承認されていて、感染が拡大すれば広く使われると考えられる」と話しています。

一方で、今後の感染の広がりについては、「海外で報告されている患者の年齢まで詳細にはわかっていないが、感染の中心は天然痘のワクチンを受けていない世代であることはまちがいないと思う。サル痘は患者の体液とか血液に触れると感染する病気で、新型コロナウイルスのように急激に患者が増えているわけではなく、世界中に感染が拡大することは心配しなくてよいと思う」と話しています。』