米欧と対抗、BRICS軸に 中国が模索

米欧と対抗、BRICS軸に 中国が模索
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM235220T20C22A6000000/

『【北京=羽田野主、ニューデリー=馬場燃】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は23日、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカと構成するBRICSのオンライン形式による首脳協議を主宰した。中ロへの非難を強める米欧に対抗するため、BRICSの連携を強めようとしている。

習氏は演説で「冷戦的思考や集団的対抗を排し、一方的な制裁や制裁の乱用に反対する」と強調し、米欧などのロシア制裁に反発した。

習氏は22日にはロシアの侵攻によるウクライナ危機をめぐって「実力に基づく地位を妄信して軍事同盟を拡張し、他国の安全を犠牲にすれば必然的に(自国の)安全も苦しい立場に陥る」と発言した。米国が主導してロシアに圧力をかける北大西洋条約機構(NATO)を批判した。

BRICSの枠組みによる連携で、大きなカギをにぎるのはインドだ。

インドは日米やオーストラリアとともに構成する4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」に入る一方で、ウクライナに侵攻したロシアへの非難は見送っている。インドは兵器輸入の約5割をロシアに頼る。

インドと中国には国境係争地での対立がある。中国は経済での結びつきを強めて取り込む戦略を描いているとみられる。中国国営の新華社は6月9日に中印の貿易額が2021年に初めて1000億ドル(約13兆5000億円)を超えたと伝えた。

インド市場には、中国の小米(シャオミ)やOPPO(オッポ)などのスマホメーカーが進出。中国もインド産の唐辛子やクミン、フェンネルなどの香辛料を大量に買い入れている。新華社は「中印の市場や人口に比べ両国の貿易額はまだ不十分」との見方を伝え、今後さらに貿易額が膨らむ可能性があると指摘した。

中国が主導して設立したBRICS諸国が運営する新開発銀行(NDB)は5月にインドに地域事務所を設立したと発表した。NDBは上海に本部を構える。インフラ整備や農村振興などを支援し、インドを引き寄せる狙いがありそうだ。

習氏は24日には加盟国以外の新興国や途上国もオンライン協議に招く。習氏は23日「志を同じくする仲間が一日も早くBRICSに加入できるようにすべきだ」と述べ、加盟国の拡大に意欲をみせた。インドネシアやサウジアラビア、アルゼンチンなどを想定しているとみられる。

ただ中ロとの接近を強く印象づけるBRICS加盟には慎重な国が多いとみられる。インドも当初は先進国への対抗軸として新興国の枠組みに強い関心を示していたが、現在は中国に対抗するクアッドに軸足を移している。

習氏は6月15日にロシアのプーチン大統領と電話協議した。BRICSや上海協力機構(SCO)など中ロが主導する枠組みを使って「国際秩序とグローバルガバナンスをより正しく合理的な方向に発展させよう」と呼びかけた。

中国の習指導部は外務省でロシア外交を支えてきた楽玉成外務次官を異動させた。ロシア一辺倒を修正しつつも、今夏に見込まれるバイデン米大統領との協議を見据え、中ロ結束を演出し、対米交渉を有利に進めようとする思惑が透ける。
【北京=羽田野主、ニューデリー=馬場燃】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は23日、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカと構成するBRICSのオンライン形式による首脳協議を主宰した。中ロへの非難を強める米欧に対抗するため、BRICSの連携を強めようとしている。

習氏は演説で「冷戦的思考や集団的対抗を排し、一方的な制裁や制裁の乱用に反対する」と強調し、米欧などのロシア制裁に反発した。

習氏は22日にはロシアの侵攻によるウクライナ危機をめぐって「実力に基づく地位を妄信して軍事同盟を拡張し、他国の安全を犠牲にすれば必然的に(自国の)安全も苦しい立場に陥る」と発言した。米国が主導してロシアに圧力をかける北大西洋条約機構(NATO)を批判した。

BRICSの枠組みによる連携で、大きなカギをにぎるのはインドだ。

インドは日米やオーストラリアとともに構成する4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」に入る一方で、ウクライナに侵攻したロシアへの非難は見送っている。インドは兵器輸入の約5割をロシアに頼る。

インドと中国には国境係争地での対立がある。中国は経済での結びつきを強めて取り込む戦略を描いているとみられる。中国国営の新華社は6月9日に中印の貿易額が2021年に初めて1000億ドル(約13兆5000億円)を超えたと伝えた。

インド市場には、中国の小米(シャオミ)やOPPO(オッポ)などのスマホメーカーが進出。中国もインド産の唐辛子やクミン、フェンネルなどの香辛料を大量に買い入れている。新華社は「中印の市場や人口に比べ両国の貿易額はまだ不十分」との見方を伝え、今後さらに貿易額が膨らむ可能性があると指摘した。

中国が主導して設立したBRICS諸国が運営する新開発銀行(NDB)は5月にインドに地域事務所を設立したと発表した。NDBは上海に本部を構える。インフラ整備や農村振興などを支援し、インドを引き寄せる狙いがありそうだ。

習氏は24日には加盟国以外の新興国や途上国もオンライン協議に招く。習氏は23日「志を同じくする仲間が一日も早くBRICSに加入できるようにすべきだ」と述べ、加盟国の拡大に意欲をみせた。インドネシアやサウジアラビア、アルゼンチンなどを想定しているとみられる。

ただ中ロとの接近を強く印象づけるBRICS加盟には慎重な国が多いとみられる。インドも当初は先進国への対抗軸として新興国の枠組みに強い関心を示していたが、現在は中国に対抗するクアッドに軸足を移している。

習氏は6月15日にロシアのプーチン大統領と電話協議した。BRICSや上海協力機構(SCO)など中ロが主導する枠組みを使って「国際秩序とグローバルガバナンスをより正しく合理的な方向に発展させよう」と呼びかけた。

中国の習指導部は外務省でロシア外交を支えてきた楽玉成外務次官を異動させた。ロシア一辺倒を修正しつつも、今夏に見込まれるバイデン米大統領との協議を見据え、中ロ結束を演出し、対米交渉を有利に進めようとする思惑が透ける。』