ロシアのBTG(大隊戦術グループ)がどんな戦法を目指しつつあるのか、わかってきた。

ロシアのBTG(大隊戦術グループ)がどんな戦法を目指しつつあるのか、わかってきた。
 https://st2019.site/?p=19833

『Sebastien Roblin 記者による2022-6-23記事「Russia Finally Has Its Artillery War in Ukraine. But Can It Win?」。
    ロシアのBTG(大隊戦術グループ)がどんな戦法を目指しつつあるのか、わかってきた。
 「砲兵主体の進撃」を実行させようというのである。
 グループの中軸は、野砲である。
 戦車と歩兵は、その主役である野砲を敵から守るための「スクリーン」(防護壁役)に徹する。
 野砲の目になるのは、ドローンだ。

 野砲が前面の敵を撃砕したら、そのあとから、おもむろに戦車と歩兵が前進する。そしてドローンが次の制圧目標を探す。これを繰り返すのだ。

 「大隊」には意味はない。最前線でアドホックに臨時編成されるので。総勢が2個大隊以上の陣容に膨らむこともあれば、1個中隊に縮むこともあるだろう。だが、「大砲中心」というコンセプトだけは不動である。

 野砲は、直接照準射撃ができるほどには、決して敵に近付かない。最大射程ギリギリで常に敵と交戦するように努める。UAVに観測させて、間接照準射撃。これに徹する。

 げんざい、ロシア軍には、教練を経た「使える歩兵」が足りない。そして将来も精鋭歩兵が足りるようにはならない。この所与環境が、BTG戦法を正当化する。歩兵が足りない軍隊は、砲兵に投資せよ。昔から、このやり方しかないのだ。

 2月24日の侵攻初盤には、ロシアはこの「正しいBTG戦法」を採っていなかった。ウクライナ軍を舐めてかかっていたので。

 露軍のドクトリンでは、戦車に随伴する下車歩兵の数が規定されているが、今次戦争の初盤では、その規定数の三分の一の歩兵しか、随伴させていなかった。

 キエフやハリコフに地上軍が到達する前に、燃料・弾薬・糧食が尽きてしまったのは、露軍の後方兵站が鉄道に依拠しすぎていたから。複数の軸で、しかもあれだけの距離の侵攻をサポートするのに必要なトラックがまるで足りていなかったのに、無理に挙行したから。

 ウクライナの都市は、BTGの前進を止めた。都市に近づくにつれて、歩兵や戦車の直接照準戦闘がどうしても増える。ところがそれに勝つのに必要な練度が、露軍にはなかった。練度ゼロの田舎徴集兵をやみくもに敵方へ向わせて自滅させるばかりだった。

 敵に長距離砲が無い場合、BTG戦術は、一進一退局面で強い。敵の前衛歩兵と車両が、こっちの野砲の間合いに入ってきてくれるので。しかもUAVからよく見えるところに出てきてくれる。おまけに、ウクライナ砲兵はここへ来てタマが切れた。それでこんどはウクライナ軍の損耗が増えているのだ。

 エコノミカルに戦わないと、消耗戦は持続困難である。ウクライナ軍はまだエコノミカルな戦い方を会得できていない。

 これから徐々に、NATOからの野砲寄贈が実り、夏にはウクライナ砲兵のレンジが増し、露軍の後方兵站を脅かすようになるだろう。』