サウジ皇太子、中東歴訪 米大統領訪問控え結束強調

サウジ皇太子、中東歴訪 米大統領訪問控え結束強調
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR218T20R20C22A6000000/

『【ドバイ=福冨隼太郎】サウジアラビアのムハンマド皇太子は22日、トルコの首都アンカラで同国のエルドアン大統領と会談した。同国イスタンブールで起きた記者殺害事件で悪化した両国関係の改善をアピールした。同皇太子は直前にエジプトとヨルダンも訪れて両国首脳とそれぞれ会った。7月の米バイデン大統領の中東訪問を前に、中東諸国の結束を強調する狙いがありそうだ。

22日、ムハンマド皇太子はアンカラの歓迎式典会場に到着すると、出迎えたエルドアン大統領と笑顔で握手と抱擁を交わした。会談後に発表された共同声明によると、両者は「2国間協力の新時代を築く」と強調。貿易の強化などを話し合ったほか、地域の安全保障強化などについて合意した。

ムハンマド皇太子は今回の中東歴訪で、20日に最初の訪問先であるエジプトの首都カイロに到着。21日には同国のシシ大統領との会談に臨み、両国は再生可能エネルギーやインフラ整備など総額77億ドル(約1兆500億円)規模の投資協定に調印した。続いて訪問したヨルダンでも、アブドラ国王と経済協力の強化について話し合った。

7月にはバイデン米大統領がサウジアラビアを訪問し、原油増産などについて議論する見通しだ。ムハンマド皇太子とシシ氏の会談では、バイデン氏がサウジ訪問中に出席する湾岸協力会議(GCC)首脳会議の重要性についても話し合われた。

シシ氏やアブドラ国王もGCC首脳会議に出席する予定で、ムハンマド皇太子は中東歴訪でバイデン氏訪問に先立って地ならしを進めたかたちだ。中東の結束を演出し、GCC首脳会議のホスト国としてのサウジの存在感を高めようとしている。

2018年10月に在米サウジ人記者のジャマル・カショギ氏がイスタンブールのサウジ総領事館で殺害されてから、ムハンマド皇太子が湾岸諸国以外を歴訪するのは初めてだ。

殺害事件を巡っては、米国家情報長官室が「ムハンマド皇太子が承認した」とする報告書を出すなどムハンマド皇太子の関与が取り沙汰され、欧米を中心に批判が強まった。事件の舞台となったトルコでも皇太子への批判が高まり、両国関係は悪化した。サウジ側は事件への皇太子の関与を強く否定している。

トルコの裁判所が4月に事件の審理のサウジ側への移管を決めたことが、両国の関係改善を後押しした。その後、エルドアン氏がサウジを訪問し、ムハンマド皇太子と会った。通貨リラ安などに見舞われるトルコには、原油高で経済が好調なサウジ側からの投資拡大などを引き出す狙いがありそうだ。

ムハンマド皇太子も短期間にトルコとの相互訪問をすることで関係改善をアピールしたかたちだ。バイデン氏の訪問を前に、記者殺害事件の幕引きにつなげようとしているとみられる。バイデン氏を招いて、エジプト、ヨルダン首脳を加えて開催するGCC首脳会議のホスト国としてのサウジの存在感を高められる。』