米司法長官がウクライナ訪問、ロシア戦争犯罪捜査で協力

米司法長官がウクライナ訪問、ロシア戦争犯罪捜査で協力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21EKG0R20C22A6000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】米司法省は21日、ガーランド司法長官がウクライナを訪問したと発表した。ロイター通信によると、訪問したのは西部リビウ近く。ウクライナへの侵攻を続けるロシアの戦争犯罪や残虐行為にかかわった人物を特定する捜査の一環になる。現地でウクライナのベネディクトワ検事総長と会談し、協力していく方針を確認した。

ベネディクトワ氏は5月末にロシア軍の戦争犯罪の容疑者として軍幹部や政治家らを含む600人以上を特定し、そのうち80人ほどの訴追手続きを始めたと明かしている。ウクライナ検察は戦争犯罪の疑いのある事案を1万4千件超把握したと主張する。

米メディアによると、ガーランド氏は戦争犯罪に関与した人物を特定するための特別チームを米政府に発足させたと説明した。人権侵害や戦争犯罪に関する捜査の専門家で構成する。

ガーランド氏は現地で「戦争犯罪者に隠れる場所はない。国内外のパートナーとともに戦争犯罪などに関与した人物の責任を追及する努力を惜しまない」と話した。司法省がウクライナなどに検察官を派遣し、ロシアによる制裁逃れを阻止するために欧州や中東などの国を支援する意向も表明した。

バイデン政権はウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領らを「戦争犯罪」に関与したと認定するよう国際社会への働きかけを強めている。ロシアによる民間人への攻撃を「ジェノサイド(大量虐殺)」と批判する声が国際社会で広がる。

国際刑事裁判所(ICC)は捜査に乗り出しており、近くウクライナに事務所を開設する。米欧とも連携し、捜査活動を強化する。

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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ひとこと解説

ロシア軍による残虐行為についての国際法と人道上におけるバイデン政権の捜査の開始は、ウクライナの「非ナチ化」のための軍事作戦を行っていると主張するロシアの正当性に疑問を突き付けるような証拠を集め、ロシア軍の軍事作戦に圧力をかけ、ウクライナの民間人の犠牲を少なくするための「法律戦」(中国的概念でいえば)だと考えられます。バイデン政権のウクライナ支援に対して、米国内と国際的な支持を得ることも重要な目的といえるでしょう。
2022年6月22日 7:31

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福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士
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分析・考察

率直にいって、これから現地事務所開設には、驚きました。国際刑事裁判所(ICC)による正式捜査の開始から間もなく4ヶ月。同HPによれば責任者の検事のウクライナ訪問はこの間に3回です。
犯罪捜査は初期の証拠保全が命です。証拠は散逸・変質しますし、第三者の干渉が増えれば証拠にノイズが入って(ある意味汚れて)しまい、相手の言い逃れを許しやすくなって行くからです。
さまざまな困難はあるでしょう。しかし、渡部さんの仰る通り、独立したICCによるオープンな捜査は、それ自体が不当な軍事侵攻や戦争犯罪への抑止策になり得ます。各国・各国際組織の捜査協力も得ながら、更なるスピードアップが求められるように、思います。
2022年6月22日 7:43』