ミャンマー国境地帯が混乱 インドから民兵、国軍支援か

ミャンマー国境地帯が混乱 インドから民兵、国軍支援か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB208DI0Q2A620C2000000/

『ミャンマー北西部の国境地帯で混乱が深まっている。隣国インドの北東部から2つの武装組織の民兵が流入し、ミャンマーの少数民族チン族の武装組織と衝突。少数民族の抵抗を抑えたいミャンマー国軍がインドの武装勢力を支援しているとの見方がある。2021年2月の軍事クーデターで悪化したミャンマー情勢を一段と複雑にしかねず、インド政府も自国への影響を警戒する。

チン族の多くが暮らすチン州はミャンマーでも特に貧困層が多い地域だとされる。自治権の拡大を求める武装組織「チン民族戦線」はクーデターに反対し、空爆を含む国軍の攻撃で村落が大きな被害を受けた。これに加え、インド北東部マニプール州から2つの武装組織の民兵が越境してきた。それぞれ「ゾミ革命軍」と「人民解放軍」を名乗る組織だ。

チン民族戦線のベテラン兵士は日本経済新聞に対し、同戦線がマニプール州からの2つの武装組織とミャンマー国軍の3者に「戦い」を宣言したと明らかにした。

2つの武装組織のうち人民解放軍はマニプール州の多数派の民族で構成され、何年も前からミャンマー北西部に流れ込んできていた。ゾミ革命軍は13年に結成したと主張する。だが、複数の専門家によると、ミャンマーに越境してくるのは同軍の一部の「東部司令部」で、これは21年に設けられたばかりだ。

マニプール州からの2つの武装組織は、インド政府からの干渉を嫌う。この点はチン族を含むミャンマーの少数民族の多くと同じだ。ゾミ革命軍は、ゾミ族が住むチン州北東部を含む連邦国家の設立を目指しているが、指導部にはマニプール州や隣のミゾラム州に多い別の民族が目立つ。

インド北東部を拠点にミャンマー側と行き来している戦闘員は取材に対し、2つの武装組織が「ミャンマー領内に安全地帯を求めており、武器や麻薬の取引では国軍の支援を受けている」と明かした。

この戦闘員によると、ゾミ革命軍のメンバーはミャンマー領内に決まった拠点を持たず、ミャンマー国軍の施設を利用している。ゾミ革命軍と人民解放軍は国軍の統治に抵抗する市民らがつくる「防衛隊」にも攻撃をしかけている。だが、両組織はいずれも、こうした事実を「プロパガンダ(政治的な宣伝)だ」と否定している。
ミャンマー北西部の対インド国境付近の武装組織「チン民族戦線」の拠点(2021年3月)=ロイター

ミャンマーとの国境地帯の混乱はインドにとっても好ましい事態ではない。インドはクーデター後のミャンマー情勢と距離を置いてきたが、安全保障上の懸念を解消するためミャンマー国軍との関係確保も探る。

インド軍の将校1人が4人の部下らとともに、ミャンマーに拠点を持つ武装組織のメンバーに殺害される事件が起き、21年12月にインドの外務次官がミャンマー国軍トップのミンアウンフライン総司令官と対応を協議した。この件では、人民解放軍が犯行声明を出している。

(寄稿 インド北東部=メークピース・シトロウ、ニングルン・ハンガル)

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia (※ リンクが効かない)』