グアテマラ外相「台湾と外交継続」移民・経済で米と連携

グアテマラ外相「台湾と外交継続」移民・経済で米と連携
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『【メキシコシティ=清水孝輔】中米グアテマラのマリオ・ブカロ外相は日本経済新聞の取材に応じ、台湾と結ぶ外交関係について「間違いなく続ける」と明言した。中南米では中国の影響力拡大により、台湾と断交する動きが相次いでいる。ブカロ氏は中国よりも、移民や経済で連携する米国との外交を優先する考えを示した。

台湾と外交関係をもつ国は世界で14カ国あり、中南米が8カ国を占める。その中でグアテマラは外交関係を結んだのが1933年と最も古く、経済規模も最大だ。ブカロ氏は「我々にとって(中国よりも)カギである米国・台湾との関係を続ける」と強調。その上で「台湾の平和と主権、領土保全が守られるように支援を続ける」と述べた。

中国は経済力を背景に、中南米の国々に台湾と断交するように促してきた。2017年にパナマ、18年にエルサルバドルとドミニカ共和国、21年にニカラグアが台湾と断交した。グアテマラのジャマテイ大統領もメディアの取材に対し、中国から新型コロナワクチンの提供を見返りに台湾断交を迫られたと示唆したことがある。

グアテマラは農業と繊維が主力産業で、世界銀行によると20年の国内総生産(GDP)は776億ドル(約10兆5000億円)。同じく台湾と外交を結ぶパラグアイの約2倍、ホンジュラスの約3倍だ。台湾と外交関係を結ぶ国はカリブ海のハイチや南太平洋の島国ツバルなど小国が中心で、グアテマラは最も経済規模が大きい。

グアテマラは移民問題や経済面で米国との関係が深い。米国やグアテマラなど20カ国は10日、米ロサンゼルスで開かれた米州首脳会議で移民問題の共同宣言を発表した。移民の出身国などに対する支援を拡大するほか、就労目的で定期的に行き来できるような機会を提供する方針などを盛り込んだ。

ブカロ氏は合意について「(移民問題に)人権の尊重や責任の共有をもたらす」と成果を強調し、「周辺国や民間企業と協力して根本的な原因の解決に取り組む」と述べた。米税関・国境取締局(CBP)によると、グアテマラ出身の不法移民の拘束者数は21会計年度に28万3035人で、全体の16%を占めている。

ハリス米副大統領は移民問題の解決に向け、民間企業に移民出身国である中米への投資を呼びかけている。自動車部品大手の矢崎総業はグアテマラ西部のメキシコとの国境の近くに工場を設け、23年に生産を始めたい考えだ。ブカロ氏は「移民の出身地である国境地帯の人々が希望を持てるようになる」と投資を歓迎する姿勢を示した。

米国では中国に依存したサプライチェーン(供給網)の地政学リスクを懸念する声が高まっている。イエレン米財務長官は4月、信頼できる国で供給網を構築することの重要性を指摘した。ブカロ氏は「グアテマラは生産移転の機会を提供できる」と話し、米国との連携を通じて製造業などの投資拡大につなげたい考えを示した。

ただ足元ではグアテマラと米国の溝も浮き彫りになっている。10日に閉幕した米州首脳会議には、メキシコなど8カ国の首脳がボイコットした。グアテマラのジャマテイ氏も米州首脳会議を欠席し、代理としてブカロ氏が出席した。ジャマテイ氏は、自身が任命した検事総長を米政府が汚職リストに加えたことに反発していた。

ブカロ氏は「懸念を示したのは大統領だ」と欠席の理由について言及を避けた一方、「米政府とは長期的な関係があり、グアテマラは平和や民主主義といった価値観を共有している」と強調した。汚職疑惑をめぐる米政府の措置に対する不満を示す一方で、全面的な政治対立は避けたい考えがあるとみられる。
Mario Bucaro スペインのサラマンカ・ポンティフィシア大学とグアテマラのサン・カルロス・デ・グアテマラ大学で修士(法学)。2018年からグアテマラの駐イスラエル大使、20年から駐メキシコ大使などを務めた。22年2月から現職。

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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Editor-s-Picks/Interview/Guatemala-vows-to-maintain-Taiwan-ties-top-diplomat-says?n_cid=DSBNNAR 』