ドイツ、石炭火力を拡大 ロシア産ガス供給減で緊急措置

ドイツ、石炭火力を拡大 ロシア産ガス供給減で緊急措置
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR194200Z10C22A6000000/

 ※ 「天に唾すれば、還って己が身を汚す。」だ…。

 ※ だから、「物の言い方」には、極力気をつけた方がいい…。

 ※ 「頭が高い物言い」は、外した時、バツが悪いことこの上ない…。

 ※ まあ、そういうことは、気にしないほど、「面の皮が厚く」できているんだろうが…。

『【ベルリン=南毅郎】ドイツのハベック経済・気候相は19日、ロシアからの天然ガス供給が大幅に減る事態に備え、ガス消費量を抑える緊急措置を発表した。代替策として石炭火力発電の稼働を増やし、産業界にガス節約を促す新たな仕組みも導入する。家庭の暖房需要が高まる冬に向けてガスの貯蔵を積み増し、ロシアの揺さぶりに対抗する。

19日の声明で明らかにした。発電に利用するガスの消費量を減らす代わりに、石炭火力発電の稼働を拡大させる法整備を進める。

ガス節約を促すため、消費量を減らした企業ほど有利になる新たな仕組み「ガスオークション」の導入も計画する。足元では、ドイツのガス貯蔵量は最大能力の5~6割程度にとどまっている。夏場にガスを節約し、暖房需要が高まる冬までに貯蔵量を最大能力の9割まで引き上げる目標だ。

ロシア産の天然ガスを巡っては、同国国営ガスプロムが15日、ドイツに送る主要パイプライン「ノルドストリーム」の供給量を従来計画から60%削減する方針を示した。14日に40%減を公表していたが、矢継ぎ早に削減率を高めた。ロシア側の揺さぶりが強まっている。ドイツはロシアが侵攻を続けるウクライナに重火器などの武器供与を進める一方で、天然ガスの調達をロシアに依存してきた。

ハベック氏は19日の声明で「ガス供給の安定性は保証されているものの、状況は深刻だ」と指摘した。供給不安を受けて資源価格が高騰しており「我々を分裂させようとするプーチン大統領の明確な戦略であり、許すことはできない」とロシアを強く非難した。

ショルツ政権は石炭火力について、「理想的」な目標として、2030年に廃止することを打ち出してきた。メルケル前政権では38年だったものの、前倒しした。35年にほぼ全ての電力を太陽光や風力などの再生可能エネルギーで賄う計画で、4月に新たなエネルギー戦略を採択したばかりだった。

2月の侵攻前、ドイツはガスの55%をロシアからの輸入に頼っていた。安全保障の観点から、天然資源のロシア依存脱却は急務だ。ただし、再エネの発電能力を積み増すには時間を要する。「脱炭素」に逆行する石炭に一時的に頼らざるを得なくなっている。
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中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長
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ひとこと解説

欧州各国のエネルギー策はなかなかの困難に直面している。EUタクソノミーへの正式採択を待つ天然ガス、原子力に対して、反対するNGOの声は大きい。ドイツは原子力からの撤退を撤回していない。ドイツが脱ロシアを急げば、石炭火力を維持することになり、カーボンニュートラルの達成が遠のく。寒い冬が来る前に、ドイツはエネルギーミックスを整えなければならない。現実と理想の狭間で、国民にリスクを転嫁しないよう対策が必要になる。日本も他人事ではない。
2022年6月20日 11:24

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察

以前から何度か言っているが、ドイツがこれまで「脱炭素」のチャンピオンとして、石炭を「悪魔化」してきたにもかかわらず、ここにきて、ロシア産の天然ガスに代わる燃料として、あえて石炭を選択したことは多くの人を失望させたであろう。しかし、ドイツが「脱原発」を維持する限り、選択肢が石炭しかない、というところが「脱炭素」の難しさを感じさせる。再生可能エネルギーを増やそうにも増やせないインフラ上の問題や安定供給の問題がある、ということなのだろう。ドイツを模範に再エネ推進を主張してきた人にとってははしごを外された形。「脱炭素」「脱ロシア」「脱原発」は同時に成立しないトリレンマ。
2022年6月20日 15:39

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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「背に腹は代えられない」ということで、一時的な動きだと説明しながら、石炭火力発電所をドイツが再稼働させる。ちなみに、この措置を発表したハベック副首相・気候相は、地球温暖化対策の緊急性・必要性を前面に掲げて躍進してきた緑の党に所属している。ロシアが天然ガス供給を絞り込んで、ウクライナへの武器支援を強化しているドイツを揺さぶっている(というより脅している)。ドイツ経済はロシア産天然ガスへの依存度が高い。ロシアはそこを突いてきたわけである。温暖化ガス発生が短期的に増えてしまうことはやむを得ないと、ドイツのショルツ連立内閣は判断した形。資源を武器に攻めるロシアに対し、ドイツはかなりの程度、守勢である。
2022年6月20日 7:30 (2022年6月20日 14:15更新)

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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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緊急対策として石炭火力の拡大ですって…。対策を発表したハベック経済・気候相は、何と環境政党である緑の党の所属です。歴代政権が脱炭素、脱原発を進めるための安全弁として、天然ガスなどのロシア依存度を高め、プーチン氏に塩を送った結果が、これとあっては目も当てられません。
ロシアに傾斜したシュレーダー、メルケル政権。そのエネルギー政策と外交・安全保障政策の矛盾が一気に爆発したわけで、現政権はそのツケ払いに追われているのです。今年のG7サミットの議長国はドイツです。脱炭素という大目標とエネルギー危機という足元の課題に、どのような折り合いをつけるのでしょう。
2022年6月20日 11:55 (2022年6月20日 14:08更新)

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小山堅
日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員
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東日本大震災と福島原発事故の後、日本が節電と火力発電総動員で電力供給を守ったのと同じで、ドイツ経済と市民生活を守るためエネルギー安定供給が最優先になった。短期的にはこうした「有事対応」でCO2排出量増加など、脱炭素化に逆行することも出て来ようが、中長期的にはむしろエネルギーミックスの脱炭素化を急速に進める政策が強化されるだろう。ただ世界的にはエネルギー価格が高騰し安定供給が最優先となれば、国産エネルギーとして相対的に安価で、豊富なエネルギー源に頼る場合が多くなる。特に途上国・新興国ではそうしたケースが増えてくるのではないか。世界の脱炭素化取組みは「まだら模様」で進展していくのではないか。
2022年6月20日 9:26

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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欧州では温室効果ガス排出量を2030年までに55%削減するため石炭からガスへ代替を進めてきました。しかしウクライナ問題で一時的とはいえ逆にしなければならず、その分排出量は増えます。世界ではウクライナ問題でエネルギー不足が加速しており、化石燃料の生産が増えており世界の排出量も一段と拡大しています。この結果、すでに温暖化の影響で大自然災害の影響が世界各地で起きておりアフリカの食料不足や世界各地の農産物の収穫を不安定にしている状況を悪化させるでしょう。難民や紛争も起きやすくなります。一時的な排出量拡大後に世界はどう温暖化に対応するのか、現状放置することが将来にもたらすリスクは大きくなっています。
2022年6月20日 7:29 』