ウクライナ戦線でロシア軍がやっているような砲撃をもしも米軍が実施した場合は、10日から3週間にして、1年分の調達分を射耗してしまう

ウクライナ戦線でロシア軍がやっているような砲撃をもしも米軍が実施した場合は、10日から3週間にして、1年分の調達分を射耗してしまう
https://st2019.site/?p=19819

『Alex Vershinin 記者による2022-6-17記事「The Return of Industrial Warfare」。
    ロシア国防省は砲弾発射総数を日々発表している。
 露軍の機械化歩兵旅団は3個野砲大隊を抱えており、うち1個が多連装ロケット砲なので、発表数の三分の二が砲熕兵器によると概算してもいいだろう。

 露軍の152ミリ榴弾砲の1個大隊は6門から成る。しかし故障や損耗があるので今は4門で計算していいだろう。

 その1門が毎日4発、発射していると考える。
 合計して、ロシア軍の砲熕砲兵は、1日に6240発を発射しているとわれわれは見積もる。

 この他に、弾薬集積所や弾薬トラックを破壊されたり、陣地転換時に置き去りにされて無駄に捨てられた砲弾が15%あると考えると、日々7176発の消費だろう。
 この数値の誤差は5割あり得ると考える。

 米軍が年々調達している砲弾は、数量はわからないが金額は公表されている。そこから試算すると、ウクライナ戦線でロシア軍がやっているような砲撃をもしも米軍が実施した場合は、10日から3週間にして、1年分の調達分を射耗してしまう

 さいぜん、米英仏が合同で指揮所演習(コンピュータ上のシミュレーションだけの演習)したところでは、英軍は、国家の砲弾備蓄を8日間にして使い果たしてしまうだろうという予測が立った。

 ジャヴェリン・ミサイルはどうか。ウクライナ軍は日々、500発を射耗しているという。米国からはこれまでに7000発が供給された。それは米国内ストックの三分の一であった。ロックマートの製造ペースは年に2100発である。これには増産命令がかかっているが、数年後にせいぜい年産4000発になるというくらいが関の山。どうするのか?

 戦域射程の地対地ミサイルと、対地用の巡航ミサイルはどうか。ロシアはこのカテゴリーのミサイルをこれまで1100発~2100発消費したと見られる。

 それに対して米軍の調達ペースは? 年に、PRISMを110発、JASSMを500発、トマホークを60発という感じ。

 かつてロシアは、どん底の状態だったミサイル増産を2015に号令したが、2016年の生産数は47発だった。米国であっても、ミサイルの大量生産体制は、5~6年かけないと、整わない。

 ※今後、非核の砲弾の在庫が空になった時点でもしプー次郎が隠退させられていないとすれば、残るストックである核を使う戦争に移行させるしかないだろう。

 ロシアのストック量は誰も知らないが、非核用の巡航ミサイルと短距離弾道弾を合計4000発くらいはまだ持っているだろう。

 「カリブル」の動力部のメーカーである「ODK Saturn」は4月、大増産体制に移行しつつあるとアナウンスした。※チップが無いのにどうやって完成品にしますか? ドイツからの工作機械の輸入ができなくされたというのに、増産できるわけがない。工作機械の国産にも集積回路は不可欠なのだ。それがもう無い。

 今次戦争より前、戦争で所要される砲弾数は減る一方だった。誘導武器が砲弾消費をどんどん減らして行くと信じられた。

 ところがその趨勢に逆転が起こった。

 まず序盤の機動戦がすぐに陣地戦と変わり、互いの車両の動きが鈍くなった。
 おかげで、無誘導の15榴砲弾を、UAV観測によって敵AFVの至近に落とすことが容易になった。

 旧ソ連設計の両軍の主力戦車は、15榴の至近弾で中破させられてしまう。

 距離40km以内で十五榴の砲弾がミサイル並の仕事をしてくれるという特異な戦場が出現した。

 有人航空機は、互いの長射程SAMレーダーがしぶといものだから、超低空を飛ぶしかなく、さりとて、ターゲティングポッド無しでは、MANPAD射程内に入るしかないので、CASなど不可能。だから、十五榴に劣る働きしかできない。

 だから今、両陣営は、砲弾の供給で勝利しようと競っている。

 砲弾やミサイルのような軍需品は、買い手が自国政府しかないのが通常である。政府からの注文をカットされると製造ラインは全滅し、復活させたくても数年は無理。そのリスクを考えると、普通のメーカー経営陣なら、砲弾増産のための投資を考えるどころか、早くその商売から遠ざかろうと思う。そういう世界。

 湾岸戦争の立ち上がり局面では、米国は、英国とイスラエルから弾薬を買う必要があった。』