イスラエル、国会解散・総選挙へ

イスラエル、国会解散・総選挙へ ラピド氏が首相に
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『【カイロ=久門武史】イスラエルのベネット首相は20日、連立政権を組むラピド外相と国会(定数120)の解散を来週採決することで合意した。可決されれば2019年4月以降、5回目の総選挙になる。ベネット氏は退任し、ラピド氏が首相として選挙管理内閣を率いる。8党による連立政権の維持が困難と判断した。

現地報道によると総選挙は10月に実施される見通し。最大野党の右派リクードを率いるネタニヤフ前首相の政権復帰につながる可能性がある。

ベネット政権は21年6月、左右両派にアラブ系まで加えた8党の連立で発足し、ネタニヤフ氏の長期政権に終止符を打った。まずベネット氏が首相を務め、23年にラピド氏に交代する首相ポストの輪番制で合意していた。

連立政権は特にパレスチナ問題を巡る不一致が大きく、当初から寄り合い所帯の危うさが指摘された。国会では今月6日、イスラエルが占領するヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植者へのイスラエル法適用を延長する法案が与党議員の造反で否決され、政権内の亀裂があらわになっていた。

4月にはベネット氏の率いる右派与党ヤミナの議員1人が政権を離脱し、与党8党は国会でかろうじて握っていた過半数の61議席を60議席に減らしていた。ネタニヤフ氏が切り崩し工作などで政権の足並みの乱れを誘ったとの見方が強い。

バイデン米大統領は7月に中東を歴訪しイスラエルやサウジアラビアを訪れる計画だが、首相交代で変更するとの情報はなく、ラピド氏がベネット氏に代わり対米関係の強化をうたうとみられる。アラブ諸国との融和や、敵対するイランへの厳しい姿勢にも変化はなさそうだ。国交のないサウジと水面下で接触を重ねていると伝えられるなか、内政の混乱が長期化すれば外交が停滞する懸念はある。

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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ひとこと解説

高騰している世界のエネルギー価格を下げるためにも、エネルギーの脱ロシア依存をすすめるためにも、7月のバイデン大統領のサウジアラビア訪問は極めて重要な会談となります。それを調整してきたのはイスラエルですので、今回の首相交代は、想定内とはいえ、気になります。
2022年6月21日 12:16
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松尾博文
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
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分析・考察

左右両派にアラブ系政党まで、「打倒ネタニヤフ」だけで集まった寄り合い所帯が、その目的を達成した後にたどる当然の帰結と言えます。全国1区の比例代表制で120人を選ぶイスラエル議会(クネセト)は、常に小党乱立となる宿命にありますが、3年半で5回の総選挙となるとさすがにまたかとの思いが拭えません。おまけにその後の首相にネタニヤフ氏の復帰となると、政治対立は簡単に収まらないでしょう。イスラエルはここ数年、UAEなどとの国交樹立などアラブとの関係を劇的に改善してきました。中東の安定にくわえ、ウクライナとロシア双方にパイプを持つイスラエルの立ち位置は重要です。内政が地域情勢に与える影響が気になります。
2022年6月21日 10:26』