[FT・Lex]新興国が窮地に、金利上昇で強まる債務圧力

[FT・Lex]新興国が窮地に、金利上昇で強まる債務圧力
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『新興国債券に嵐が近づいている。米連邦準備理事会(FRB)の積極的なインフレ抑制策によって米ドルが上昇している。ウクライナ紛争によるエネルギーと食品市場の混乱も加わり、新興国経済は久方ぶりの難局を迎えている。

スリランカでは2022年に入ってから、株式市場がドル換算で大幅に下落した=ロイター

ドル建ての新興国ソブリン債のベンチマークであるJPモルガンEMBIグローバル指数と、安全資産とされる米国債の間の利回り差(イールドスプレッド)はここ数日急拡大している。ブルームバーグのデータによると、EMBI指数と米国債の利回り差はここ1年で約3%から4%以上に拡大した。

スリランカは外的ショックがいかにある国の経済にとって打撃となるかを示す典型的な例だ。スリランカの株式市場は2022年になってドル換算で64%下落した。食料とエネルギー価格の高騰に対する国民の怒りがきっかけで、5月には首相が辞任するなど政権が崩壊し、国債はデフォルト(債務不履行)に陥った。

この傾向は当分続くだろう。世界銀行は、22年2月にロシアがウクライナに侵攻する以前から低所得国の6割近くが過剰債務に陥っていたか、その危険が高かったとしている。国際金融協会(IIF)によると、新興国は22年中に5兆5000億ドル以上の債券や融資の償還を迎える。

最も脆弱な国々は多額の債務を抱え、外貨準備は限られている。国際通貨基金(IMF)に支援を要請している国には、エジプトやチュニジア、パキスタンなどが含まれる。サハラ以南のアフリカでは、ガーナやケニア、南アフリカ、エチオピアが特にリスクが高い国だ。

新興国はこれまで、西側諸国の金融緩和政策による低金利の資金に頼って問題を取り繕うことができた。しかし、もはやそれはできない。先進国の金利上昇で外国人投資家のリスク選好姿勢が後退した。IIFによると、外国人投資家の新興国債券市場への参加率は18%と09年以降最低の水準にある。

米国の個人投資家は新興国債券を敬遠している。米調査会社EPFRのデータによると、年初以来380億ドル以上が新興国の投資信託や債券ETF(上場投資信託)から流出した。資金の流出は今後も続くだろう。

(2022年6月17日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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