[FT]アンゴラ政府、中国企業からダイヤモンド鉱山株接収

[FT]アンゴラ政府、中国企業からダイヤモンド鉱山株接収
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『アフリカ南西部の資源国アンゴラの政府は、ダイヤモンド採掘で国内最大手のカトカ鉱山会社の株式を接収し、同社の発行済み株式の過半を得た。これは、同国における中国勢の投資の影響力の陰りを象徴する。

アンゴラのロウレンソ大統領は、8月の議会選に向け、中国と距離を置こうとしている(2020年、ルアンダの大統領宮殿)=ロイター

カトカ鉱山はダイヤ産出で世界第4位の大きさだ。株主にはダイヤ採掘の世界最大手で米国の制裁を受けるロシアのアルロサ、アンゴラの国営ダイヤ開発エンディアマが名を連ねる。最近まで中国系のLLIインターナショナルも含まれていた。
アンゴラ検察、中国系企業の鉱山経営参画を阻止

カトカは6月の声明で「アンゴラ共和国検察はLLIによるカトカ経営への参画を阻止するため、LLIが持っていた18%の株式を2021年、(政府保有株を管理する)国営企業等民営化推進機構(IGAPE)に移した。これにより、アンゴラ政府はカトカ株の59%を保有することになった」と明らかにした。

LLIは、中国系の投資家としてアンゴラで最も注目を集め、幅広いコネを持つ安中石油(チャイナ・ソナンゴル)の傘下にある企業だ。

チャイナ・ソナンゴルは、かつてアフリカ各国の独裁的な政権と資源を巡り取引をしてきた中国人実業家サム・パ氏が支配していた金鐘道集団(クイーンズウェー・グループ)のなかで最も有名な企業だ。20年近く前、金鐘道とアンゴラの国営石油会社ソナンゴルとの合弁会社として設立された。

英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のアフリカ・プログラム・ディレクターでアンゴラが専門のアレックス・バインズ氏は、アンゴラ政府がカトカ株の過半を取得したことで「投資家を安心させるために業界を一掃」してチャイナ・ソナンゴルとの関係を断つ姿勢を示したと指摘する。「チャイナ・ソナンゴルは(アンゴラの)旧体制とつながっており」、現職のロウレンソ大統領は距離を置いていた。

アンゴラ国民、中国への過度な接近に危機感

パ氏が手掛けてきた事業をみれば、中国のアフリカに対する影響力の拡大がわかる。アンゴラのエリート層に食い込み、同国を中国にとって最大の石油輸出国、そしてアフリカ最大の対中債務国にした。バインズ氏は、パ氏が関わるアンゴラへの投資が以前よりも減った理由を「アンゴラの国民が、中国への過度な接近に危機感を持った」ためだと解説するが、アンゴラにとって中国との関係はなお重要だと主張する。

パ氏は汚職捜査で15年、中国当局に拘束された後、行方が分からなくなっており、コメントは得られなかった。チャイナ・ソナンゴルは「現在はサム・パ氏となんの関係もないことを断言できる」と答えた。

アンゴラ政府がカトカ株の過半を取得した経緯については、カトカ、アンゴラ検察のいずれも回答していない。

チャイナ・ソナンゴルは裁判所を通じてアンゴラ検察の追及を受けている事実を示唆した。「この件についてはアンゴラの弁護士を代理人に指名しており、アンゴラの裁判所が扱っているため、これ以上のコメントを出せない」と付け加えた。
鉱山へ出資のロシア企業に米国が制裁

ロウレンソ氏は強権統治で知られたドスサントス前大統領の後任として17年に就任した。それ以来、国有資産の民営化、アフリカ第2の産油企業であるソナンゴルを巡る汚職撲滅を約束してきた。ロウレンソ氏が率いる与党アンゴラ解放人民運動(MPLA)は8月に議会選を控え、石油に頼らない経済の構築を迫られている。ドスサントス前政権下で、中国企業はアンゴラの道路、空港、油田などに投資した。

ベルギーの調査研究機関「国際平和情報サービス」で天然資源を担当するハンス・メルケット氏は、アンゴラはダイヤモンド産出国としての「イメージ向上のため多額の投資をしている」と指摘する。同氏は「多くの大企業がアンゴラに戻り、ビジネスを再開する機会をうかがっている」と話すが、ロシア企業のアルロサのカトカへの関与を考えれば、リスクがあるとみている。

米国は4月、「プーチン氏(ロシア大統領)による残虐行為の資金源である資産、資源、経済分野へのロシア政府のアプローチを阻む絶え間ない努力」の一環として、アルロサを制裁対象に加えた。

カトカは「鉱山の運営や販売管理に関し、アルロサが経営に直接参加しているわけではない」ため、制裁の影響はないと説明した。いわゆる「50%ルール」のもと、米国の制裁は、その対象が株式の過半数を保有する企業だけに科される。

By Joseph Cotterill

(2022年6月16日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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