[FT]中国、鉄鉱石購入を一括管理 オーストラリアに対抗

[FT]中国、鉄鉱石購入を一括管理 オーストラリアに対抗
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『中国は2022年末までに鉄鉱石の輸入を中央で一括管理する新たな体制を構築しようとしている。習近平(シー・ジンピン)政権が価格交渉力の強化を目指す取り組みの一環だ。
中国はオーストラリア産鉄鉱石への依存度が高い=ロイター

事情に詳しい複数の関係者によると、新体制への移行は中国鋼鉄工業協会や政府機関が主導し、中国宝武鋼鉄集団、中国五鉱集団、中国アルミ集団といった国有資源・鉄鋼大手が参加する。

中国は世界最大の鉄鉱石消費国で、年間10億トンの鉄鋼を生産している。全世界で産出される鉄鉱石の約7割が中国に輸入され、その大半がオーストラリア産だ。中国が価格交渉力を強めようとする動きは、鉄鉱石の対中輸出でトップに立つ豪州を警戒させる公算が大きい。

中国政府は、新たな組織に複数の企業を代表させることで、大口購入量を増やし、より割安に調達できるようにする考えだ。

同じ計画の下で、国内での鉄鉱石増産や海外の鉱山に対する投資拡大も目指す。
豪州勢には中国の動きが懸念呼ぶ恐れ

複数の政府関係者や政策アドバイザーがフィナンシャル・タイムズ(FT)に対して語ったところによると、習政権は近年の鉄鉱石価格の大幅な変動にいら立ちを募らせているという。鉄鉱石業界で独占的な立場を築いてきたフォーテスキュー・メタルズ・グループやBHPグループといった豪州勢は、中国の新たな取り組みに懸念を抱く可能性が高い。

豪政府が新型コロナウイルスの発生源を巡って国際調査団の中国派遣を呼び掛けた際、中国政府は豪州への報復を試み、中国企業が石炭からカキ、ワインまでさまざまな豪州産の輸入品をボイコットした。ところが鉄鋼生産に欠かせない原料の鉄鉱石は、他国からの仕入れで全量をまかなうことができなかった。

匿名を条件に取材に応じた中国のある政策アドバイザーは「(世界首位の)鉄鉱石供給国は、世界最大の市場を相手にしないわけにはいかない」と話す。その上で「われわれへの値引きに応じざるを得ないはずだ」と続けた。

中国は理論上、ヴァーレをはじめとするブラジルの資源大手からの鉄鉱石輸入を増やせば、豪州への依存を減らせる。

中国はまた、ギニアで年間最大2億トンもの生産が見込まれるシマンドウ鉄鉱山の開発にも出資している。ただ専門家によれば、同地で実際に採掘を始めるのに、少なくとも150億ドル(約2兆円)を投じての関連インフラ整備が必要となる。国内を結ぶ全長650キロの鉄道もその1つで、169本の橋を架け、4つのトンネルをつくらなければならず、建設には何年もかかる。ギニア政府との正式な開発契約は近く結ばれる見通しだ。
価格変動が激しい鉄鉱石

中国の企業幹部や政府関係者は、米調査会社S&Pグローバル・プラッツが算出する鉄鉱石の国際価格指数の変動幅が大きいことに不満を抱いている。同指数は1年前に1トン230ドル超で過去最高を更新した後、21年後半には半値以下になり、やがて3分の2ほど値を戻した。現在は134ドル前後を付けている。

鉄鉱石価格が20年から21年にかけて2倍になるといった原料価格の急騰を受け、中国鉄鋼業界の利益率はここ数年間で1桁台前半へと落ち込んだ。

中国東部の江蘇省を拠点とする国有鉄鋼メーカー、南京鋼鉄の関係者は「鉄鉱石価格の変動があまりに急で、生産の計画が難しくなっている」とこぼす。

だが専門家の間では、中国各地に数多く散在する中小規模の製鉄所まで中央政府が統制しきれるかどうか、疑問視する見方もある。

英証券会社リベラムのアナリスト、トム・プライス氏は「仮に価格で合意できたとしても、比較的規模の小さい製鉄所や商社が鉄鉱石生産者と勝手に取引するかもしれない」と指摘し、「そうなれば全体が崩壊する」との見方を示した。
製鉄所がどこまで従うかは不透明

中国政府は鉄鉱石の調達を一括するため、国内の各製鉄所に必要な量の見通しを報告させたうえで合計を算出し、海外の主要サプライヤーとの交渉に役立てる予定だ。

しかし中国の市場環境は変わりやすく、需要予測が当たらない場合も珍しくない。世界2位の経済規模を誇る中国だが、ゼロコロナ政策による上海などの経済中心地のロックダウン(都市封鎖)が痛手となり、4月以降は景況感が急速に悪化している。

こうした状況下では、たとえ一定量の購入を約束する契約を破ってでも、鉄鉱石の輸入縮小を余儀なくされる製鉄所が多くなる可能性がある。

中国北部の河北省で小規模な製鉄所を運営する徳龍鋼鉄の関係者は「われわれにとって最善の利益になることをするまでだ」と述べた。

By Sun Yu and Neil Hume

(2022年6月16日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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