[FT]イランを目指すロシア企業 制裁下のビジネスに関心

[FT]イランを目指すロシア企業 制裁下のビジネスに関心
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB164WA0W2A610C2000000/

 ※ 「価値(≒利益)」は、「差異」から生じる…。

 ※ 「商行為」とは、「ある地域」と「ある地域」で、「価格が違うもの」を見つけだして、「安い地域で仕入れて」、「高い地域で売る」ことで、この間の「価格差」を取得するというのが、原型だ…。

 ※ 中国の古代の王朝である、「商王朝(「殷」ともいう)」に、そういうことをやった人が多くいて、「商人」と呼ばれた…。

 ※ だから、「規制」「制裁」の隣りには、「巨額の価値(利益)」が潜んでいる…。
 ※ アメリカ禁酒法時代には、シカゴで、アル・カポネが、酒の密造・販売やって、大儲けした…。

 ※ 今般のロシア制裁の隣りにも、「巨額の利益」が潜んでいることだろう…。

 ※ 今日は、こんなところで…。

『2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、イランでツアーガイドをするアリさんのビジネスは好調だ。ただ、以前の顧客はペルシャの芸術や食べ物、文化に興味を持つロシア人観光客だったが、今ではそれがビジネスマンに変わった。
イランを訪れるロシア人ビジネスマンが増えている(テヘランの市場)=ロイター

欧米諸国が相次いでロシア企業などに制裁を科すなか、ロシア人は「米国の制裁下でイランの人々がどうやって暮らしているのかに興味津々だ」とアリさんは話した。

自ら事業を起こしたアリさんはフルネームを明かさないことを条件に取材に応じた。アリさんがテヘランで案内したロシア人は5月だけで160人だったが、そのほとんどがビジネスマンだったという。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)前は観光客が中心で、通常は40人程度だった。

アリさんは「イランを訪れるロシア人ビジネスマンは以前は上から目線でイラン企業に商品を売り込んでいたが、今ではイランの商品を買おうとしている。目を見張るほどの変化だ」と話す。

アリさんはロシア人ビジネスマンをテヘラン周辺の企業に案内し、テヘランの企業関係者を紹介している。欧米の消費財企業がロシアへの商品供給を縮小するなか、アリさんの顧客はイランでアップルのスマートフォンが広く流通しているのを目の当たりにして驚き、興味を示すという。

欧米の消費財も入手可能

2015年にまとまったイラン核合意からトランプ前米大統領が離脱して以降、イランは米国の厳しい制裁を受けて世界の金融システムから実質的に切り離された状態で4年間耐えてきた。だが、イランで流通している欧米の消費者向け製品はアップルのスマホだけではない。広く出回っているのは中国ブランドだが、フィリップスやボッシュといった欧米の消費財大手の製品も購入可能だ。そうした商品がどうやってイランに入ってくるのかは定かではない。密輸の場合もあれば、個人が海外から持ち込む場合もあるだろう。だが、業者によると、トルコやイラク北部で荷を積み替えて米国の制裁を回避するのが主要ルートだという。

「ロシアは欧米の部品や製品を買える世界の闇市場とのつながりで、イランに大きく出遅れている」とアリさんは言う。

ウクライナでの戦争でイランが恩恵を受けているのは、こうして非公式に助言できることだけではない。中国への原油輸出と近隣国への石油以外の製品の輸出で成り立つイラン経済は、石油価格の急騰で潤うようになった。

イラン経済は制裁で大打撃を受け、物価は急騰し貧困が広がっている。一方で、イラン企業が制裁をかいくぐって輸出入を続けていることが制裁の影響を軽減している。

イランが核合意の再建でバイデン米政権と合意に達すれば制裁は解除されるだろうが、核合意再建に向けた外交努力は行き詰まっている。イラン政府が先週、国際原子力機関(IAEA)の監視カメラ27台を核施設から撤去すると発表したことも交渉の障害になっている。核合意の署名国であるロシアは3月、欧州連合(EU)の仲介によりウィーンで開いた交渉で米国の対ロ制裁がロシアとイランとの協力関係に影響を及ぼさないと保証するよう求め、交渉は暗礁に乗り上げた。

イランでは、ウクライナでの開戦直後は少なくとも、ウィーンでの再建交渉の行き詰まりから欧米の注意をそらす効果があったとの見方が依然として存在する。

イランの強硬派に近い政府関係者は「ウクライナ戦争はイランにとって天恵だった」と言う。「そして今、欧米諸国は高インフレと食品価格の上昇という国内問題にどう対応すべきかで頭がいっぱいだ」。さらにこの関係者は、ロシアと中国は以前は核合意復帰で欧米の大国と合意するようイランに求めていたが、今では他に懸念することがあると指摘する。「(ロシアの)ラブロフ外相から何も聞いていないのか。ロシアはもうイランに核合意復帰を求めていない」

ロシア副首相が協力拡大を明言

イラン当局は、北方に位置する近隣国のロシアは、しいて言えばイランの希望だと認めている。イランのファテミアミン鉱工業貿易相はロシアのウクライナへの侵攻開始直後に記者団に対し「イラン経済に対する悪影響より好影響のほうが格段に大きい」と述べた。

ロシアのインタファクス通信によると、同国のノバク副首相は5月にテヘランでの企業関係者との会合で「我々は貿易、経済、物流、投資、金融(および)銀行業務での協力を拡大する方向にある」と語った。さらに、2国間の貿易が22年1~3月に10%以上拡大したと述べた。

イランの関税当局によると、2国間の貿易額は3月末までの1年間で22億ドル(約3000億円)に上った。中国やロシアとの関係拡大を志向するイランのライシ大統領は、ウクライナ侵攻前でさえ2国間の貿易規模が「満足すべき水準ではない」との点でロシアのプーチン大統領と意見が一致していると述べていた。

両国はリアルとルーブルというそれぞれの通貨を貿易決済に使用することでも合意しているとイランのオジ石油相は言う。この点からは両国がドル調達に苦戦していることがうかがえる。

イランの改革派アナリストは両国の経済がエネルギー輸出に依存する点で似すぎていて、得られる恩恵は多くないとみる。イラン経済は規模でロシアよりはるかに小さい。世界銀行の20年のデータによると、ロシアの国内総生産(GDP)はイランの7倍以上だ。

イランのエテマド紙記者でエネルギー事情に詳しいアリ・シャムス・アルダカニ氏は「ロシアが戦略的パートナーになれると考えているのなら、歴史書を読んでロシアには行動理念がないことを認識すべきだ」と書いた。さらに「当局が今何も策を講じなければ、ロシアはアジアに残っているイランの石油輸出先を奪い、アジアの石油市場で主要プレーヤーになるだろう」と指摘している。

イラン・ロシア商工会議所の会員であるジャリル・ジャラリファー氏は通信社ILNAに対し、ウクライナ侵攻以降、ロシア人投資家はイランには来ていないと述べた。「彼らは我々の頭上を通り越してアラブ首長国連邦(UAE)に飛んで」投資していると語り、侵攻開始後、ロシア人が大挙してドバイを訪れていることを指摘した。

こうした反対意見はあるものの、ロシアのウクライナ侵攻がイラン企業に好影響を与えているとする点でアナリストの意見はツアーガイドのアリさんと一致している。

ロシア人ビジネスマンの目当ては通常、重機部品や建材の調達だとアリさんは言う。今はゆっくりとしか進んでいないが、いずれ2国間の協力が拡大するとアリさんは考えている。

「ロシアの需要はじわじわと(イランの)市場に向かっている。対ロ制裁が続く場合、イランとロシアの企業が効率よく協力できるようになるまでに1~2年はかかるだろう」とアリさんは語った。

By Najmeh Bozorgmehr

(2022年6月15日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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