米、台湾への武器売却でミサイル防衛優先 中国念頭に

米、台湾への武器売却でミサイル防衛優先 中国念頭に
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN134HK0T10C22A6000000/

『【シンガポール=中村亮】バイデン米政権は台湾への武器売却で、中国軍の上陸作戦の阻止に向けて効果的な兵器を最優先する。対艦ミサイルやミサイル防衛システムを優先対象に挙げた。月内に開く方向で最終調整に入った米台の戦略対話で議論を詰める見通しだ。

米国務省や国防総省が今年春、多くの米防衛大手が加盟する米国・台湾ビジネス評議会と会議を開き、台湾向けの武器売却の指針について説明した。日本経済新聞は会議記録の概要を入手した。

概要によると、国務省高官らは会議で「非対称兵器」の売却を一段と優先していく方針を強調した。非対称兵器とは軍事力が大幅に異なる相手に対抗するための兵器で、①俊敏に移動できる②安価③侵攻作戦への対処に有効――などの条件を満たすとみられている。

中国は台湾上陸作戦の序盤で大量の精密ミサイルを使って攻撃する可能性が高いとされる。台湾軍はミサイル攻撃を避けないと上陸作戦に対抗できず、回避に必要な俊敏性がとくに重要になる。

米政権は非対称兵器として対艦ミサイルや防空システムに加え、敵の動きを把握する情報収集システムや早期警戒システムを挙げた。台湾に購入を推奨する兵器やシステムのリストを作成し、20程度の具体的な兵器などを売却の優先対象として選定したようだ。

戦闘機は非対称兵器には該当しないとみられている。滑走路が破壊されると使えなくなるからだ。米国はすでに戦闘機F16の売却を決めたが、新規の戦闘機売却のハードルは高くなるとみられる。

国務省高官は「(非対称兵器に当てはまらない)他の兵器を拒否するわけではないが、台湾に対してこれまでよりも強くそれらの重点分野(の兵器購入)を促していく」と述べた。非対称兵器に該当しない兵器購入の「噂」が出た時点で売却を先回りして拒否する可能性があるとも説明した。

米国と台湾は安全保障担当高官が参加する「モントレー対話」を月内に米国で開く方向で最終調整している。関係者3人が日本経済新聞の取材で明らかにした。米国から台湾への武器支援が主要テーマになる。台湾が調達する兵器やシステムについて具体的な議論を重ねるとみられる。

米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は中国が2027年までに台湾侵攻に必要な能力の取得を目指していると警鐘を鳴らす。バイデン政権内で台湾の自衛力強化に向けた時間は多くないとの懸念は根強い。

オースティン米国防長官は11日、シンガポールで開いたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で演説し、台湾の自衛力向上への支援強化を打ち出した。その直後にモントレー対話を調整し、中国の抑止を目指す。

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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/U.S.-Taiwan-set-to-hold-strategic-dialogue-this-month-sources?n_cid=DSBNNAR 』