仮想通貨の時価総額1兆ドル割れ 一部出金停止で動揺

仮想通貨の時価総額1兆ドル割れ 一部出金停止で動揺
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『【ニューヨーク=大島有美子】暗号資産(仮想通貨)の相場が急落している。世界の仮想通貨の時価総額は13日(米東部時間)、一時1兆ドル(約134兆円)を割り込んだ。代表的なビットコインの価格は前日比で15%ほど下落し、一時2万2600ドル台と1年半ぶりの安値をつけた。交換業大手のバイナンスが一時、預かり資金の出金を停止したことなどが売りを招いた。難局を乗り切るためリストラも広がる。

情報サイトのコインマーケットキャップによると、世界全体の仮想通貨の時価総額は13日に一時1兆ドルを割り込み、9000億ドル台をつけた。21年1月以来の水準だ。21年11月につけたピーク(2兆9700億ドル)から約7割減少した。

米大手融資サービスのセルシウス・ネットワークは13日までに、出金や口座間の資金移動などの一時停止を発表した。「極端な市場環境」を理由としており、「流動性を安定させることが最終的な目標だ」と述べた。再開のメドは立っていない。

バイナンスのチャオ・チャンコン最高経営責任者(CEO)は13日朝、ツイッターでビットコインの預かり資産の出金を一部ネットワークで停止していると発表した。約3時間後に復旧した。

バイナンスは同日未明に実施していたハードウエアの障害の修復作業によって、その後の出金取引の処理が滞ったと説明。問題は解決されたといい、「預かり資産に影響はない」と強調した。

セルシウスに続き、最大手とされるバイナンスでも出金を停止したことで「仮想通貨市場の信頼性に大きな打撃を与えた」(米オアンダのエドワード・モヤ氏)。リーマン危機の前触れとなった2007年のパリバ・ショックでは、傘下のファンドが解約を凍結すると発表し、市場の不安が増幅した経緯がある。仮想通貨市場でも過去の金融危機の連想が働いた可能性がある。

5月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で8.6%上昇した。高インフレが金融引き締め観測を強め、仮想通貨からの資金流出に歯止めがかからなくなっている。英調査会社のコインシェアーズによると、主要な仮想通貨であるイーサリウムは6月3日の週まで9週連続で資金流出となった。

関連企業は人員削減などリストラに動く。仮想通貨の貸し付けを手がける米ブロックファイのザック・プリンスCEOは13日、従業員の20%を削減する方針をツイッターで表明した。米メディアによると約850人の従業員がいる。自身や役員の報酬も削減し、経費を圧縮する。

交換業大手コインベースは新規や中途採用を停止しているほか、同業のジェミニも従業員を10%減らす方針を明らかにしている。仮想通貨関連サービスを提供する米ギャラクシー・デジタル・ホールディングスのマイク・ノボグラッツCEOは8日、「仮想通貨のヘッジファンドの3分の2は破綻する可能性がある」と会合で述べ、リストラがさらに進むとの認識を示した。

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