前に出る経産省、企業と再接近 「官僚たちの夏」は遠く

前に出る経産省、企業と再接近 「官僚たちの夏」は遠く
藤岡昂
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA09AAU0Z00C22A5000000/

『「特にこの2~3年で大きく変わった」と経済産業省の中堅職員は話す。企業との関係のことだ。半導体関連団体の幹部も「少し前まえでは経産省とは距離があった。今はどんどん求心力が高まっている」という。

蓄電池の成長戦略をまとめる4月の会議での萩生田光一経産相の発言は象徴的だった。「これからは国も一歩前にでて、研究開発のみならず、その先の設備投資までしっかりと支援するなど取組を強化する必要がある」。積極投資で世界シェアを高める中国勢や韓国勢を念頭に「今回が最後のチャンスだ」とも述べた。

経済安全保障という考え方が広がり、重要物資や基幹産業を国として保護・育成することが改めて重要になっていることが背景にある。ロシアのウクライナ侵攻という危機も重なる。

半導体などを巡り、中国や欧州連合(EU)、米国なども巨額の財政支援に動く。国内自動車メーカー幹部も「日本だけ民間で戦えと言われても困る」と政策的な後押しが必要と訴える。

第2次世界大戦後、経済産業省の前身である通商産業省は石炭や鉄鋼などの特定産業に重点的にヒト・モノ・カネを投じた。通産省の存在感は絶大だった。

高度経済成長期の通産官僚の姿を描いた城山三郎の小説「官僚たちの夏」の主人公は国内産業の保護育成を優先する。官民が再接近する今の光景とどこか重なる面があるだけに、世相の違いも感じる。官僚を活写するような小説はこれから出てくるだろうか。』