ウクライナ穀物輸出「回廊」案協議 ロシア・トルコ外相

ウクライナ穀物輸出「回廊」案協議 ロシア・トルコ外相
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR083M40Y2A600C2000000/

『【イスタンブール=木寺もも子、ウィーン=細川倫太郎】ロシアのラブロフ外相は8日、トルコの首都アンカラで同国のチャブシオール外相と会談した。ウクライナの穀物輸出に関し、ロシアが封鎖した黒海に貨物船が通過できる「回廊」を設ける案を協議したが、ウクライナは機雷除去などの条件に慎重な構えだ。

チャブシオール氏は会談後に開いた共同記者会見で、回廊設置の条件などについてトルコと国連を交えた4者協議をイスタンブールで開くことを提案した。

国連やトルコはロシアやウクライナと協働し、穀物を積んだ貨物船を護送するほか、武器などの出入りがないことを監視する仕組みを提案している。チャブシオール氏はロシアとウクライナが回廊案自体には原則賛成していると説明した。

ラブロフ氏は記者会見で提案を受け入れる姿勢をみせたが、実現にはウクライナが沿岸防衛のために敷いた機雷を撤去する必要があると主張した。回廊を攻撃に利用しないことは「(プーチン)大統領が保証している」と述べた。

国連食糧農業機関(FAO)によると、ウクライナは小麦輸出量で世界の1割を占める。主要な輸送路の黒海をロシアが封鎖したことなどで、年間輸出分の約半分にあたる2200万トン以上の穀類が足止めを受けている。国連などは飢餓の深刻化を懸念している。

ウクライナは防衛を脅かす合意が頭越しに進みかねないと警戒する。同国外務省は7日夜の声明で、回廊が南部の港湾都市オデッサなどの攻撃に利用される恐れを指摘し「ウクライナの利益を考慮しないいかなる合意も拒絶する」と述べた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は8日、ドイツのショルツ首相と電話協議した。独政府によると、穀物輸出の再開に向けてあらゆる手段を講じる必要があることで一致した。

一方、ゼレンスキー氏は7日、英紙フィナンシャル・タイムズのイベントで、侵攻が始まった2月24日前の状態までロシア軍を押し戻すことが「暫定的な勝利だ」と語った。最終目標である領土の完全な回復に向け「装備が劣って前進できない」として、改めて米欧に兵器の供与を求めた。

ロシア軍はウクライナ東部地域の完全制圧へ攻撃を続けている。ショイグ国防相は7日、ルガンスク州の97%を掌握したと主張した。要衝セベロドネツク市については市街地を既に制圧し、工業地帯などで攻撃を続けていると説明した。

ウクライナ軍参謀本部によると、ロシア軍はセベロドネツクの西にあるドネツク州の主要都市スラビャンスクでも新たな軍事作戦の準備をしている。

英国防省は8日、ウクライナ軍は南部ヘルソンでは反撃し、一定の成果を上げていると分析した。ロシア軍の占領下にあるヘルソンは、同国が通貨ルーブルを法定通貨として導入し、学校でもロシアの教育を実施していると指摘した。

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