ECBが11年ぶり利上げ、7月に0.25% 量的緩和も終了

ECBが11年ぶり利上げ、7月に0.25% 量的緩和も終了
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR07CG00X00C22A6000000/

『【アムステルダム=南毅郎】欧州中央銀行(ECB)は9日の理事会で、7月1日に量的緩和政策を終了すると決めた。同月中には0.25%の利上げに踏み切る方針も声明文に明記した。利上げは11年ぶり。ロシアのウクライナ侵攻による資源高などでユーロ圏の消費者物価の伸び率は8%を超えており、インフレ抑制へ金融政策の正常化を急ぐ。

【関連記事】
・利上げドミノ、世界景気に試練 ECBは物価抑止を優先
・欧州で長期金利急伸、ドイツ1.4%台 南欧債に警戒広がる

米連邦準備理事会(FRB)や英イングランド銀行はすでに利上げを進めており、世界の主要中銀が金融政策の正常化で足並みをそろえる。

ラガルド総裁は理事会後の記者会見で「高インフレは我々の試練になっている」と発言し、エネルギーや食料価格の高騰が当面、「望ましくない」インフレ圧力につながることに警戒を示した。

「インフレ率が中期的に目標の2%に戻るようにする」とも強調した。今後の利上げについては「9月に再び政策金利を引き上げる予定だ」と話した。インフレ見通しに応じて大幅利上げを検討する構えで、一部のECB幹部が求めている0.5%の利上げに踏み切る可能性がある。

ラガルド総裁は5月下旬に公表したブログで「7~9月期の非常に早い時期」に量的緩和政策を終了できるとの見方を示していた。

主要政策金利は0%、銀行が中銀に資金を預ける際の金利(中銀預金金利)はマイナス0.5%と据え置いた。ラガルド氏は9月末までにこれを0%以上に引き上げ、マイナス金利政策を終了することを示唆していた。

9日には新しい経済・物価見通しも示した。資源高やユーロ安が進んでいるため、2022年の消費者物価の伸び率は6.8%に上方修正した。23年は3.5%、24年は2.1%を見込む。一方、急激なインフレで企業収益や家計所得が圧迫されることから、22年の経済成長率は2.8%に下方修正した。

ECBが目指す2%の物価上昇率目標を中期的に上回る可能性が高まっている。FRBはすでに保有資産を縮小する「量的引き締め」を進めており、ECBがいつ着手するかも焦点だ。イタリアなど南欧各国の長期金利が上昇しており、ECBはFRBよりも慎重に判断するとの見方がある。ラガルド氏は記者会見で、資金供給策に脱炭素の要素を絡める案について「検討に値する」と言及した。

【関連記事】
・マイナス金利、取り残される日本 強まる円安圧力
・緩和マネー、年2兆ドル収縮へ 世界の中銀が資産圧縮
・ECB主流派「沈黙は金」 透ける利上げへの布石

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

滝田洋一のアバター
滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
コメントメニュー

ひとこと解説

では利上げ後の政策金利はいくらになるのか。答は依然マイナス0.25%。現在の金利はマイナス0.5%で、これを7月中に0.25%引き上げても、依然マイナスなのです

一方で、ラガルド総裁は9月末までに政策金利を0%以上にすると示唆していますから、次回は0.25%ないし0.5%の利上げになるという案配です。

ユーロ圏の物価上昇率は米国と同様に8%を超えているのに、政策金利は依然マイナス圏とあって、利上げを急ぐ気持ちは分かります。ただ財政や金融が脆弱な南欧諸国が、インフレ下の金融引き締めにどれだけ耐えられるか。為替市場では利上げのみに注目してユーロ高。足元は脆弱なように思えてなりません。

2022年6月9日 21:45 (2022年6月9日 22:00更新) 』