東南アジア、衛星ネット黎明期 スペースX参入で号砲

東南アジア、衛星ネット黎明期 スペースX参入で号砲
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM050IB0V00C22A6000000/

 ※ マレーシア、インドネシア、フィリピン…、と「島嶼国家」なんで、「衛星ネット」は「ピッタリ」だ…。

 ※ あとは、「国家の規制」の問題だけだろう…。

 ※ 逆に、「情報統制」したい国家にとっては、「癪のたね」だろう…。

 ※ まあ、そういう国家では、「認可しない」んだろうが…。

 ※ ただ、「パラボラ」がデカいらしいんで、設置場所に苦労するようだ…。

『【マニラ=志賀優一】東南アジアで衛星通信を活用したインターネットサービスが広がり始めた。イーロン・マスク氏率いる米スペースXはフィリピンを皮切りに各国で展開を目指すほか、地元の通信大手やスタートアップも展開を急ぐ。島国が多い東南アジアは、利用者や利用時間の多さに対して通信品質は他の地域に劣る。高品質な衛星ネットの広がりで産業育成や地政学リスク対応をもくろむ。

「スターリンクがフィリピンで事業認可された」。通信事業を監督するフィリピン国家電気通信委員会が5月27日、スペースXの衛星ネットサービス「スターリンク」を認可したことがわかると、マスク氏は即座にツイッターにこう投稿した。数カ月以内にフィリピンでサービスを始めるとみられる。東南アジアでは同国が初めてだ。

衛星ネットの事業機会はフィリピン以外の東南アジアにも広がる。スペースXは各地で事業展開を模索しており、公表情報ではインドネシアやマレーシア、ベトナム、ミャンマーでも2023年をメドに事業開始を見込んでいる。

島国の多い東南アジアでは、衛星ネットのメリットが生かしやすい。フィリピンの国土は7100、インドネシアは1万6000以上の島で構成される。地方や島などでは十分な通信環境が整備されていないため、衛星通信を使えば海底ケーブルの敷設などに比べて容易に通信が確保できる。南太平洋のトンガでは1月に海底火山の噴火で通信が遮断されたが、衛星ネットなら通信が確保できた可能性が高い。

衛星ネットは東南アジアの通信事情の改善につながる期待もある。スターリンクの衛星は、高度約3万6000キロメートルの静止軌道衛星と異なり、高度500~2000キロメートル程度の「低軌道」を周回する。地表に近い分、高速・低遅延のためスターリンクのダウンロード速度は100~200メガビット/秒(Mbps)で現在の各国の通信速度に比べて圧倒的に速い。

英調査会社ウィー・アー・ソーシャルによると、1日あたりのネット利用時間は世界平均の約7時間に対し、フィリピンが10時間を超え、インドネシアも8時間半に達する。一方で各国・地域の通信速度をまとめたスピードテストグローバルインデックス(4月時点)では、携帯通信のダウンロード速度は142カ国・地域のうちインドネシアが100位(17.96Mbps)、フィリピンが95位(19.45Mbps)と下位だ。

フィリピンは外資企業を参入しやすくした法改正なども進め参入を促してきた。「(通信環境の向上が)中小企業の能力を高め、オンライン学習やネット通販、フィンテックなどを促進する」(フィリピンのロペス貿易産業相)ことで、新産業育成などの期待も高まる。

スペースX以外でも取り組みが相次ぐ。現地の通信大手PLDTはカナダの衛星通信事業者テレサットと衛星を活用した高速通信接続の実験を2月に実施し成功したと発表した。テレサットの衛星はスターリンクと同じく低軌道周回が特徴だ。競合のグローブ・テレコムも米衛星通信事業者ASTスペースモバイルとフィリピンにおけるサービス提供に向けた覚書を交わした。

スカパーJSATが衛星を通じたネットサービスを提供し、同国北部の島で風力発電設備の遠隔監視に活用する取り組みも始まっている。アジア開発銀行(ADB)はシンガポール拠点とする新興企業カシフィック社と通信衛星プロジェクトで5000万ドル(約66億円)の融資契約を結んだ。

ネックは価格だ。スターリンクには月110ドルや500ドルのプランがあるが、フィリピンの携帯通信契約には30日間でデータ通信24ギガバイトが使える300ペソ(約750円)以下のプランもある。

一般的な利用よりも、まずは遠隔地に拠点を持つ企業や災害時に通信手段を確保したい公的機関や軍隊、メディアなどによる利用が想定される。参入増加で価格の引き下げ競争などが起きれば、一般利用によって普及に弾みがつきそうだ。
導入の契機、地政学リスクも

フィリピンを始め、東南アジアで衛星ネットに注目が集まるのは、地政学的な要因も無視できない。フィリピンやベトナムは南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島を巡って領有権を主張し、中国と対立する。地上のネット回線が不測の事態で切断しても、通信ができる衛星ネットの確保は有事への備えの役割を果たすと期待されている。

スターリンクはロシア軍の侵攻を受けているウクライナに供与され一躍脚光を浴びた。ウクライナのフョードロフ副首相が2月26日にサービス開始を要請し、2日後の28日には通信端末のセットがウクライナに到着した。配備までの時間が短いことは緊急時対応に威力を発揮する。

中国も配備を警戒している。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、中国の研究者たちはスターリンクの衛星が国家の安全に脅威をもたらす場合、衛星の機能を失わせたり破壊したりすることを主張している。』