電気代、世界で上昇止まらず 天然ガス高騰でEU4割高

電気代、世界で上昇止まらず 天然ガス高騰でEU4割高
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA073IF0X00C22A6000000/

※ 電気代は上がるし、ガソリン代も上がる…。おまけに、食料品価格も上がるじゃ、「ウクライナ・制裁疲れ」にもなる…。

※ 特に、「選挙」が迫っている政権では、「ウクライナどころの、話しじゃない。」という感じになって行くだろうな…。

『世界で電気料金の上昇が止まらない。火力発電に使う液化天然ガス(LNG)などの価格高騰が主因だ。2021年度のエネルギー白書によると22年3月の電気代は19年1月比で欧州連合(EU)で4割増、米国は1割増となった。日本も1割増で価格転嫁が進み始めている。エネルギー価格がけん引するインフレが、新型コロナウイルス禍から回復してきた個人消費を冷やしかねない。

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政府が7日に閣議決定したエネルギー白書はEU、英国、米国、日本、ドイツ、フランス、イタリアの7カ国・地域の電気代について19年1月を100として22年3月までの推移を示した。

イタリアが177と伸び率が最も大きく、EU全体は140、英国は125、米国は114だった。日本は110で、上昇率は最も小さい。

英国は家庭の標準モデルの場合、ガスも含めた上限価格が4月に年間で1971ポンド(約32万円)の水準になった。半年前から約11万円増えた。当局は次回10月の改定でさらに830ポンドほど高まるとみている。

米エネルギー情報局(EIA)は22年の家庭向けの平均の電気料金単価が21年比4.3%高い1キロワット時あたり14.31セント(約19円)になると予想する。1世帯あたり月平均約900キロワット時使うため単純計算で年約60ドル(約8000円)上がる。

日本も上昇傾向にある。東京電力ホールディングス(HD)の7月の家庭向け電気料金は標準モデルで6月比306円増の8871円になる。上昇は11カ月連続で、前年同月より1898円(27%)高い。中部電力や北海道電力、九州電力も7月の料金を上げる。

今のところ日本は欧州より値上げは抑えられている。理由の一つはLNGの価格だ。日本が長期契約で調達するLNGの価格は原油価格と連動している。欧州は天然ガスのスポット(随時契約)価格と連動していることが多い。原油より天然ガスの方が値動きが大きく、結果として日本は相対的に影響を抑えられた。

一方、ロシアでの資源開発事業「サハリン2」で取れるLNGは、ロシアが日本への輸出を停止する可能性がある。価格はアジア向けスポット市場の相場の数分の1で割安だ。年間の輸入量約600万トンは全体の約1割で、スポットで代替調達すると追加で1.8兆円が必要になり、電気代の一層の上昇につながりかねない。

もう一つの理由が大手電力会社10社による「燃料費調整制度」と呼ぶ制度だ。家庭向けの一部で導入している。3~5カ月前の燃料費をもとに電力料金を決める。ウクライナ侵攻以降の影響が本格化するのに「時差」が出る。

この制度は燃料の輸入価格が基準価格より5割以上高くなると、超えた分は電気料金に転嫁できず、電力会社が負担するルールもある。7月までで東京、中部、北海道の3電力を除く7電力が転嫁の上限に達し事実上、料金が抑えられている。

電力会社は燃料の調達コストを回収できず業績に響く。国の認可を得て、上限を超えた電気料金の値上げに踏み切る可能性もある。

電気やガス料金の上昇は米欧の記録的なインフレにつながっている。消費者物価指数は4月に米国で前年同月比8.3%上がった。上昇幅は約40年ぶりの水準だ。英国も4月に9.0%上昇した。上げ幅は月次で統計をさかのぼれる1989年以降で最大だ。

日本でも4月の消費者物価上昇率が2.5%に達した。7年1カ月ぶりの2%超えだ。品目別だとエネルギー関連が19.1%、中でも電気代は21.0%と上げ幅の大きさが目立つ。

家計調査によると2人以上世帯の消費支出に占める電気代の比率は22年2月に5.94%となり、2000年代以降で最大となった。前年同月から0.85ポイント上昇した。

生活必需品の電気やガスの値上げが続けば、他の一般の消費支出を絞る動きが強まりかねない。オランダ金融大手INGは「消費者は他のサービスや商品への支出を減らしてエネルギー価格の上昇を相殺する傾向がある」と指摘。「ユーロ圏のエネルギー危機は長引く。個人消費を圧迫し、実質賃金のマイナス成長をもたらす」と分析する。

電力は足元で需給逼迫の懸念が強まる。それが市場価格の高騰につながり、料金に影響する側面もある。政府はとりわけ冬場の逼迫を見込み、数値目標を含む節電要請も検討する。

電力消費の大きい大企業に日時や量を指定する使用制限令も検討する。経済活動の重荷になれば、景気回復の足を引っ張ることになる。

第一生命経済研究所主任エコノミストの小池理人氏は「再生可能エネルギーの普及などで化石燃料に頼る産業構造を変えていくしかない」と指摘する。電気を安く、安定して供給できるかは国の産業競争力を左右する。節電や省エネを通じた需要の抑制や脱化石燃料への構造転換が求められている。

(ヒューストン=花房良祐、ロンドン=篠崎健太、高城裕太、新井惇太郎)

日本の電気料金、価格転嫁の上限撤廃焦点

燃料費が上昇するなかで電気代への転嫁に上限があるままでは供給増を求められている日本の電力会社にとって負担となる。転嫁上限の見直しも政策上の焦点になる。
今の燃料費調整制度では、燃料の輸入価格が各電力会社が決めた基準価格より5割以上高くなると、超過分は電気料金に転嫁できない。上限の撤廃を求める意見があり、経済産業省の審議会でも検討課題に浮上する。
上限があることで家庭の電気代を抑える効果もある。今の制度でも電気料金自体を上げれば燃料高を電気代に転嫁できる。経産省内では「値上げ申請が本筋だ」と、上限廃止に慎重論もある。
値上げは電力会社が経産省に申請し、電力・ガス取引監視等委員会の審査を経て、認可を得なければならない。電力会社にはハードルが高い。

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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分析・考察

エネルギー安全保障面では、原発もエネルギーコストの収支だけで考えることではありませんが、こういう状況なので多方面から本格的に議論することが必要でしょう。
また、需要喚起が見込める省エネや生活必需品の国内自給率向上を思い切って加速させ、将来やらなければならないことをこの際前倒しすることも必要でしょう。
これらの政策により、環境関連産業を更に伸張させることに加え、エネルギーの国内自給率をいかに高めるかが今の日本経済にとっては最優先の課題となるでしょう。

2022年6月8日 9:03

小黒一正のアバター
小黒一正
法政大学経済学部 教授
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分析・考察

欧州より低いですが、日本の電気料金の値上げもすごいですね(標準モデルで前年同月より27%増の1898円↑)。昨日の日経の記事では、「総務省が7日発表した4月の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は30万4510円と、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比1.7%減少」で、消費支出を構成する10項目のうち、「エネルギー価格の上昇があった「光熱・水道」は名目では18.6%増だったが、実質では2.5%増にとどまった」と解説しています。記事では説明していませんが、電気料金等の価格が20%超の上昇でも名目の伸びが18.6%ということは、家計が「光熱・水道」の使用量を節約している可能性を意味します。

2022年6月8日 8:40 (2022年6月8日 9:27更新) 』