「中立」トルコ、立ち回り巧み 米欧ロシア双方から実利

「中立」トルコ、立ち回り巧み 米欧ロシア双方から実利
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR076XA0X00C22A6000000/

 ※ 『トルコは地政学的危機に積極的に対応することで存在感を高めつつ、実利もとろうとする「G20モデル」を提供しつつあります。

インド、サウジ、ブラジル、インドネシアなどを「覚醒」させるでしょう。

力による現状変更は意図しなくても、G7やEUのような「守旧勢力」に追随したくはない、という感覚は新興国に共通しており、中国は「守旧勢力」の冷戦志向を非難しつつ、これを最大限、利用しようとするゲームを続けるでしょう。

日本の本来的な強みは「非欧米」の視点も併せ持つことで、欧米の中での立ち位置もそこにあります。

折れないアンテナを高く立て、複眼をぐるぐる巡らせないと激動期に取り残されるのではないでしょうか。』…。

 ※ いい視点だ…。

 ※ それと、「日本国存立の条件」をキッチリ抽出し、どう立ち回ったら、その「条件」が充足できるのか、を間違えないことだ…。

 ※ 当然、「情勢の風向き」と「世界のすう勢」の読み…、が最大のポイントとなる…。

『ロシアとウクライナの間で中立の立場を取るトルコが巧みな立ち回りをみせている。7~8日にはロシアのラブロフ外相が首都アンカラを訪れ、ウクライナからの穀物輸送を協議する。ロシアの企業や人材も流入しており、独自の立場をてこにロシアと米欧双方から、隣国シリアでの支配地域拡大などの実利を引き出そうとしている。

「プーチンの戦争で死にたくないし、殺したくもない」。兵役経験のあるウェブ開発者のロシア人男性(29)は4月、徴兵の可能性を恐れてトルコ南西部のリゾート地フェティエに移住した。雇用関係や業務はこれまで通りで時差もない。当初はジョージアに行ったが、反ロ感情が強く居心地が悪かったためトルコに決めた。

米欧中心の制裁に参加しないトルコはロシアとの直行便運航が続き、ビザなしで入国できる。5月下旬、地中海沿いの南部アンタルヤのシェアオフィスではロシア語が飛び交っていた。アンタルヤにある全校生徒約180人の「モスクワ国際学校」には1日平均5件の問い合わせが来るようになった。9月の新学期に向け拡張も検討する。

トルコ商工会議所連合会(TOBB)によると、1~4月にトルコで設立されたロシア系企業は231社。2月のロシアによるウクライナ侵攻後に急増し、2021年通年の実績を超えた。「多くの企業はトルコ人名義で設立されており、数字は氷山の一角だろう」との指摘もある。欧州連合(EU)と関税同盟を結ぶトルコを調達や販売の拠点にしているという。

ロシアのラブロフ外相は6日、予定していたセルビア訪問を断念した。近隣諸国から搭乗機の領空通過を拒否されたためだ。トルコとの外相会談では、ロシアによる黒海封鎖で妨害されているウクライナからの穀物輸出問題を協議する。

黒海の出入り口に位置するトルコのイスタンブールにロシア、ウクライナ、トルコ、国連による共同監視センターを設け、護送船団方式で貨物船を通過させる案が出ている。

世界5位の小麦輸出国であるウクライナ産穀物の供給が再開できなければ途上国などの食糧危機に発展すると懸念され、会談は注目を集める。

だが、トルコにとってより重要な狙いは隣国シリアへの越境軍事作戦をロシアに認めさせることだとみられる。トルコのエルドアン大統領は5月、国境沿いからクルド系武装勢力の人民防衛隊(YPG)を排除するとして、軍事作戦を予告した。主権の侵害だとして反発するアサド政権の後ろ盾がロシアだ。

ロシアはウクライナに戦力を集中させるためにシリアから部隊の撤収を始めたもようで、シリア情勢を巡る主導権を明け渡しつつある。エルドアン氏はプーチン大統領と電話協議した2日後の今月1日、軍事作戦の目標としてシリア北部のマンビジュ、タルリファトの2カ所を明言した。

北大西洋条約機構(NATO)加盟国としての立場も最大限活用する。YPGなどのクルド系組織への支援を理由に、トルコはスウェーデンとフィンランドのNATO加盟について拒否権をちらつかせる。

米国は過激派組織「イスラム国」(IS)掃討でYPGと共闘しており、トルコの軍事作戦に反対する立場だ。19年にトルコがシリアに侵攻した際は米欧が制裁を科したが、北欧2カ国のNATO加盟申請が絡み、トルコへの強硬対応がしにくくなった。

プライス米国務省報道官は5月下旬、トルコの侵攻予告に「深い懸念」を示す一方、「トルコの正当な安全保障上の懸念は理解する」と配慮をみせた。

トルコは米国からF16戦闘機の調達も期待する。19年にロシア製地対空ミサイル「S400」を導入したことで最新鋭のF35戦闘機の共同開発から締め出された後、代わりとして求めてきた。

独自外交には不透明感もただよう。ウクライナのゼレンスキー大統領は6日、ロシアとトルコの協議について「詳細を承知していない」と距離を置いた。兵器売却を承認する米議会ではトルコへの心証が大きく悪化しており、トルコの思惑通りに運ぶとは限らない。

(イスタンブール=木寺もも子)

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深川由起子
早稲田大学政治経済学術院 教授
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今後の展望

トルコは地政学的危機に積極的に対応することで存在感を高めつつ、実利もとろうとする「G20モデル」を提供しつつあります。

インド、サウジ、ブラジル、インドネシアなどを「覚醒」させるでしょう。

力による現状変更は意図しなくても、G7やEUのような「守旧勢力」に追随したくはない、という感覚は新興国に共通しており、中国は「守旧勢力」の冷戦志向を非難しつつ、これを最大限、利用しようとするゲームを続けるでしょう。

日本の本来的な強みは「非欧米」の視点も併せ持つことで、欧米の中での立ち位置もそこにあります。

折れないアンテナを高く立て、複眼をぐるぐる巡らせないと激動期に取り残されるのではないでしょうか。

2022年6月8日 4:51』