首相の座、世襲へ前進 カンボジア地方選で与党「圧勝」

首相の座、世襲へ前進 カンボジア地方選で与党「圧勝」
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『【プノンペン=大西智也】5日に投開票されたカンボジアの地方行政区の評議会議員を選ぶ地方選挙で、在任約37年のフン・セン首相が率いる与党の人民党(CPP)が「圧勝」した。野党勢力に対する締め付けが影響した格好だ。2023年に予定される下院選挙でも勝利し、長男のフン・マネット陸軍司令官への首相ポストの世襲を着実に前進させる構えだ。

6日までの複数の現地メディア報道によると、CPPは首都のプノンペンのほか大半の州の行政区で過半数の得票を集めて第1党になった。同党のスポークスマンは、全体の99%の行政区で第1党になるとの見方を示し「国民がCPPを支持した結果だ」と主張した。

CPPは、新型コロナウイルスのワクチン調達などで感染拡大を早期に抑え、経済再開を進めた実績などをアピール。野党への圧力を強めて選挙戦を有利に進め、約7割の行政区で第1党だった17年の前回の地方選結果を大きく上回った。新潟国際情報大学の山田裕史准教授は「野党勢力に対する分断や圧力に加え、CPPの圧倒的な資金力と動員力が、選挙結果に表れた」と分析する。

地方選挙で与党のCPPが勝利したことで、フン・セン氏は長男のフン・マネット氏への世襲を進めていく構えだ。5月に開催された国際交流会議「アジアの未来」に出席したフン・セン氏は交代時期は明言しなかったが、「選挙でCPPが敗北したら、(マネット氏は)後を継がない」と述べ、選挙結果を重視する姿勢を示していた。

一方、野党勢力は惨敗した。前回の地方選で躍進した後、政権の影響を受ける最高裁の命令で解党させられた旧最大野党、救国党(CNRP)の流れをくむキャンドルライト党は大半の行政区で候補者を擁立したが、思うような選挙活動ができなかったもようだ。同党は6日の声明で「選挙はカンボジアの人々の意思を反映していない」と述べ、与党による妨害活動を非難した。

選挙管理委員会はキャンドルライト党の候補者、100人以上の出馬を認めなかった。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は「野党候補を標的とした脅迫、妨害に悩まされた」との声明を出している。

今回の地方選には与野党合計17の政党が参加。郡や市などの地方自治体の下にある1600超の行政区で約1万1600議席を争った。選挙管理委員会によると、投票率は約78%になるとしている。野党支持者の一部が棄権にまわったとみられ、約90%だった前回選挙を下回った。6月下旬に最終的な選挙結果が公表される。

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