英与党がジョンソン首相「信任」 不信任4割、逆風続く

英与党がジョンソン首相「信任」 不信任4割、逆風続く
政権退陣は免れる
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR06C540W2A600C2000000/

『【ロンドン=中島裕介】英国の与党・保守党は6日夜(日本時間7日未明)に実施した信任投票の結果、ジョンソン党首(首相)の続投を決めた。首相退陣は免れたが、4割超の議員が不信任票を投じ、ジョンソン氏の求心力低下は鮮明。新型コロナウイルス禍のさなかでパーティーに参加した問題はなおくすぶっており、政権運営の難局は続きそうだ。

信任投票では党所属の議員359人が無記名で投票した。信任211、不信任148でジョンソン氏の信任が決まった。党のルールで信任投票は一度実施すると、原則1年は再実施できない。

ジョンソン首相は信任投票直前の党議員への演説で「政府の信頼は(これまでの)実績だ」と強調。首相就任後に実現した欧州連合(EU)離脱や新型コロナワクチンの早期普及などの成果を訴えた。投票後にはパーティー問題に一定の区切りがついたとの認識を示し、「人々を支援する政策の実行に集中する」と語った。

ただ4割超の不信任票が集まった結果について英メディアは「良い結果ではない」(英紙ガーディアン)と分析する。2018年末に同じ党首の信任投票に直面したメイ前首相は、不信任票が37%ほどだった。求心力の低下とEU離脱交渉の混乱で約半年後に辞任した。ジョンソン氏の不信任票はそのときを上回った。

ジョンソン氏はロシアの軍事侵攻を受けたウクライナや、北大西洋条約機構(NATO)加盟を目指す北欧2カ国の支援などで存在感を発揮している。英国内での政権基盤の揺らぎが危機下の積極外交に悪影響をもたらす可能性もある。6月下旬には英下院の補欠選挙が予定されており、そこで惨敗すれば首相辞任への圧力が再び強まる公算は大きい。

党首の信任投票は保守党のルールに基づき、党首交代を求める書簡を提出した同党の下院議員数が全体の15%(54人)に達したため行われた。コロナ対策で国民に他世帯との交流規制を呼びかけていた最中に、ジョンソン氏らが首相官邸などでパーティーを開いていた問題が引き金となった。

ジョンソン氏は20年6月の官邸でのパーティー出席で罰金処分を受けたほか、今年5月下旬の政府の内部調査では「中枢の指導者は責任を負わなければならない」と批判された。

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吉田徹
同志社大学政策学部 教授
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ひとこと解説

ジョンソン首相の支持率は2021春から不支持率が上昇基調、現在では約7割にも達している。そうした世論を保守党は無視するわけにもいかなったのだろう。

もっともジョンソン首相が辞任したところで、ウクライナ戦争、インフレ高、財政健全化などの課題が消えるわけではなく、火中の栗を拾おうとする有力な後継者も見当たらない。

何事もなければ下院選は2024年までないことになるからこのままレームダック化が進み、来年当たりから「新顔」探しが始まることになるはずだ。

2022年6月7日 12:48』