[FT]フィンランド情報機関長官「ロシア報復なし」に驚き

[FT]フィンランド情報機関長官「ロシア報復なし」に驚き
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『北大西洋条約機構(NATO)加盟を目指しているフィンランドの情報機関トップが、同国のNATO加盟申請が現時点でロシアの報復措置につながっていないことに驚きを示している。フィンランドのNATO加盟には今のところ、テロ対処を巡りトルコが反対している。

フィンランドとスウェーデンのNATO加盟に残る障害はトルコの反対だ=ロイター

フィンランド安全保障情報庁のアンティ・ペルタリ長官はフィナンシャル・タイムズ(FT)紙に対し、同国政府は東の隣国ロシアが干渉してくる可能性をなおも「警戒」しているが、ロシアはウクライナでの戦争で手いっぱいだと述べた。

加盟後に影響を及ばそうとする可能性も

「かなり静かな状況で、このままであることを望むばかりだ」とペルタリ氏は異例のインタビューで語った。「何も起きていないのは良いことだ。しかしそれは同時に、我々が備えを固め、社会を守れるようにしてきたという証しでもある」

フィンランドはNATO加盟の是非をめぐる議論の間、そして正式に加盟するまでの数カ月間、ロシアのサイバー攻撃やハイブリッド攻撃を受ける恐れがあると身構えていた。

フィンランドの当局者らは、NATOに加盟するという決定をロシアのプーチン大統領は容認したのではないかと期待を抱いているが、フィンランドに外国の部隊や核兵器を配備するかどうかといった決定に関して、ロシア側は影響を及ぼそうと考えているかもしれないと受け止めている。ペルタリ氏は「NATOへの加盟後、フィンランドがどのようなメンバーになるのかに彼らは関心を持っている」と語った。

フィンランドは外国の部隊や核兵器配備に何らの関心を示していないが、同時に加盟申請したスウェーデンとは異なり、その可能性を排除してはいない。

慎重一転、ロシアへの批判率直に

かつてフィンランドはソ連に対して慎重にコミュニケーションをとる戦略で知られたが、今はロシアについてもっと率直に語るようになっているとペルタリ氏は付け加えた。

フィンランドのニーニスト大統領は5月、自身のロシアに対するメッセージは「これを引き起こしたのは、あなたたちだ。鏡を見てほしい」と、印象に残る発言をした。

ペルタリ氏はこう続けた。「大きく変わることはない。備えを固め、国の安全を期す。それがフィンランド流だ。我々の決意は固いが、騒ぎ立てたりはしない」

フィンランドとスウェーデンのNATO加盟に残る障害はトルコの反対だ。

加盟申請前にニーニスト氏がトルコのエルドアン大統領と協議した際、エルドアン氏は「前向きに」検討するだろうと明言した。だが同氏はその後、フィンランドはテロリストの「ゲストハウス」で、トルコが敵視するクルド系武装組織、クルド労働者党(PKK)の活動に目をつぶっていると主張するようになった。

フィンランドは現在、外相がトルコ製ドローン(小型無人機)の購入や武器売却の条件改善の可能性を示すなど、トルコ側の歓心を買おうと攻勢に出ている。

「ゲストハウス」との主張退ける

ペルタリ氏も、PKKによるテロの脅威を真剣に受け止めるべく全力を尽くしているとして、トルコ側を納得させようとした。

「すでに何年もの間、我々はPKKの活動を追い続けている」とペルタリ氏は語った。「今年の(フィンランドの情報収集・分析活動に関する)年次報告書で、PKKの資金繰りや資金調達活動について触れている。我々は真剣に受け止めている。PKKは明らかにテロ組織だ。我々はテロを止めるために真剣だ」

一方、「ゲストハウス」との主張については退けた。「フィンランドはテロリストの安全な避難先ではない。我々は自国の法と手続きの下で活動し、欧州連合(EU)のテロ組織リストに準拠している」

シリア内戦によって、フィンランドは初めて国際テロの影響を受けるようになったとペルタリ氏は話した。過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いにフィンランドから80人の要員が参加した。安全保障情報庁は外国テロ組織の戦闘員と渡り合ううえで、数年前からトルコの首都アンカラのフィンランド大使館に連絡官を派遣している。

ペルタリ氏は、テロリズムに関してフィンランドはトルコなどの国々と「非常に効果的に」協力しているが、詳細は明かせないとした。「我々は国際テロを非常に真剣に受け止めている。我々はテロを非難し、この分野で安全をもたらす存在だ」と同氏は付け加えた。

By Richard Milne

(2022年6月5日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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