天安門事件33年、当局厳戒 追悼の場は香港から台湾へ

天安門事件33年、当局厳戒 追悼の場は香港から台湾へ
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『中国の民主化を求めた大学生らを当局が武力で鎮圧した天安門事件から4日で33年を迎えた。今年秋には共産党幹部の人事を決める5年に1度の党大会があり、習近平(シー・ジンピン)指導部は警戒を強めている。香港では「言論の自由」が後退し、追悼活動の主な舞台は台湾に移った。

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「軍隊を動員して学生や民間人を虐殺することは反人類的蛮行だ」。天安門事件で子どもを亡くした家族らの会「天安門の母」は1日の声明で、改めて真相の解明や賠償、責任追及を共産党・政府に求めた。

習氏が3期目を目指す党大会を控え、当局は不測の事態が起きないように神経質になっている。事件が起きた天安門広場は4日、大勢の警官が配置され、警察車両もあちこちで通行人に目を光らせていた。

名門の北京大学や北京師範大学では新型コロナウイルス対策を理由にした大学の封鎖を不満として、抗議活動が起きた。天津市の大学でも学生らが集まり「官僚主義と形式主義を打倒せよ」と叫んでいる動画がインターネットで拡散された。

北京市内の大学に通う学生によると、多くの大学が特別措置として学生を実家に送り返した。授業の早期終了や履修単位の簡略化も認め、学生らの不満解消を図る。徹底した情報統制もあり、市民の間で事件の記憶は薄れつつあるが、コロナ対策への不満と民主化の動きが結びつく事態を中国当局は警戒している。
4日、追悼集会が開かれてきたビクトリア公園付近を封鎖する香港警察=AP

香港では長年追悼集会を主催してきた民主派団体が2021年9月に解散に追い込まれ、香港大学にあった慰霊碑も21年末に撤去された。今年はカトリック教会も追悼ミサを取りやめた。香港は中国国内で唯一、事件を公に語れる場所だったが香港国家安全維持法(国安法)の施行後、追悼すら許されなくなった。

香港政府は3日夜、追悼集会が毎年開かれていた公園の一部を封鎖した。警察は「違法集会への参加は最大で禁錮5年になり得る」と警告し、4日も公園周辺に多数の警察官を配置した。今年、集会の申請はなかった。

追悼活動を長年続け、収監中の李卓人氏は支援者を通じてフェイスブックに投稿し、4日は断食をし、マッチに火をともして刑務所の中で犠牲者を悼むと述べた。
台北市中心部の「自由広場」で4日、天安門事件の追悼行事が開かれた

中国との溝を深める台湾では4日、台北市の中心部にある「自由広場」で民間団体が追悼行事を開いた。主催者団体「華人民主書院」の曽建元理事長は台湾での追悼の意義について「中国の軍事的圧力が強まるなか、台湾が民主主義を守るという決意を世界に示すことにつながる」と話した。

台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は4日のフェイスブックの投稿で、香港で追悼集会の申請がなかったことや香港の大学で事件を象徴する像が撤去されたことに触れ「乱暴なやり方で人々の記憶を消し去ることはできない」と訴えた。

台湾で対中国政策を所管する大陸委員会は3日の声明で「中国共産党は学生らを武力で鎮圧した過ちをいまだ反省しておらず、言論の自由の抑圧や人権侵害を続けている」と強く批判した。

欧米は新疆ウイグル自治区の少数民族弾圧など、中国の人権軽視の姿勢は変わっていないと非難する。ブリンケン米国務長官は3日、天安門事件で「数えきれないほどの人が投獄され、死者数は今も不明だ」との声明を出した。香港やウイグルなどを挙げ「中国の残虐行為や人権侵害に説明責任を果たすよう働きかけていく」と訴えた。

(北京=羽田野主、香港=木原雄士、台北=龍元秀明)

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