仏下院選、マクロン与党支持伸び悩み 改革停滞の恐れも

仏下院選、マクロン与党支持伸び悩み 改革停滞の恐れも
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『【パリ=白石透冴】12日に1回目投開票を実施するフランス国民議会(下院、577議席)選挙まで1週間となった。低所得者層などの物価高への不満を背景にマクロン大統領が実質的に率いる与党連合の支持が伸び悩んでおり、世論調査によると議席を減らす可能性が強まっている。過半数割れとなれば、年金制度の簡素化や定年延長といった改革が滞る恐れがある。

仏紙フィガロが5月31日に報じた世論調査によると、マクロン氏が所属する中道政党などでつくる与党連合は議席を現在の346から275~310に減らすとみられる。過半数の289を超えない可能性が出てきた。

フランスは二院制で、マクロン氏にとって立法権などで優越がある下院での過半数維持は改革推進に欠かせない。下院選は小選挙区制で、12日の投票で誰も過半数を取れないなどの選挙区では19日に決選投票を実施する。

仏国立統計経済研究所(INSEE)によると、5月の消費者物価指数は前年同月比で5.2%上昇した。生活必需品である小麦や油などの値上げが相次いでおり、仏流通団体FCD幹部は5月中旬、仏テレビBFMの取材に「過去40年近く見なかったようなインフレが訪れる」と述べた。

マクロン政権は燃料価格の固定、食品向け商品券の配布などを盛り込んだ物価高対策法案を下院選後に発表する予定だ。ただロシアのウクライナ侵攻を受けてインフレが進んでおり、不満の矛先が政権に向かっている。

勢いをみせるのが、急進左派「不服従のフランス」のメランション党首を中心とする左派連合だ。同じ世論調査によると、170~205議席を取り、野党最大勢力となる見通しだ。生活必需品の価格固定、定年の62歳から60歳への引き下げなどポピュリズム(大衆迎合主義)的な公約を掲げている。

ルペン氏が率いる極右の国民連合は議席を現在の7から20~50まで増やすとの予想だ。地方基盤が弱く、野党最大勢力になるとの目標は達成できない可能性が高まっている。

マクロン氏の1期目は下院の安定的な多数に支えられ、法人税引き下げ、国防費の増額などの改革を矢継ぎ早に実施した。今回過半数を取れなければ、まだ実現できていない年金改革や、ウクライナ危機などへの対応で影響は避けられない。』