[FT]米国の信頼回復目指す台湾・国民党 政権奪回目指す

[FT]米国の信頼回復目指す台湾・国民党 政権奪回目指す
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB034VJ0T00C22A6000000/

 ※ 『これは、アメリカという国。
今回もバイデン大統領は台湾が侵攻されたとき、軍事介入を明言しても、訂正。いわゆる失言と処理された。ふらつくアメリカは世界を混乱に陥れている』…。

 ※ それは、その通りだろう…。

 ※ しかし、アメリカとて「国益優先」で動いているに過ぎない…。

 ※ しかも、国内で「対立」する「諸勢力」を抱えている点も、他の国と変わるところは無い…(典型的には、民主党vs.共和党)。

 ※ だから、その「アメリカの世界戦略」の方向性を、ある程度「読んでおく」ことが重要となる…。

『台湾の最大野党である国民党が、米国のパートナーとして信頼たりうる存在であることを米政府に証明しようと躍起になっている。同党は与党・民主進歩党(民進党)が勢力を伸ばす中、苦戦している。国民党はかつて党首の蒋介石が中国本土を支配していたころは米国の同盟相手だった。

国民党の朱立倫主席は米国訪問で、台湾にとって最も重要な安全保障上のパートナーとの関係修復を目指す=ロイター

国民党トップの朱立倫主席は2日から12日間に及ぶ米国訪問で、台湾にとって最も重要な安全保障上のパートナーとの関係修復を目指す。選挙で相次ぎ大敗を喫した後、党勢を回復しようと戦うなか、党が何年も無視してきた米国との関係改善を図りたい考えだ。

米スタンフォード大学フーバー研究所で台湾政治を専門とするカリス・テンプルマン氏は「国民党は『対米問題』を抱えている」と指摘する。「朱氏は、党がまだ重要な存在で、再び権力を握ったら米国にとって頼りになるパートナーになると説得するために懸命に努力しなければならない」

総統就任には米国のお墨付きが必須

中国が自国の領土の一部と主張している台湾を侵攻すると脅しをかけるなか、米国は台湾の安全を保障している国だ。このため台湾の総統候補が米国の政策立案者に自己紹介することが慣例になっている。大方の台湾人は、米国のお墨付きがない政治家は総統の座を絶対に勝ち取れないと考えている。

現職の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は2012年に最初に臨んだ総統選で敗れた。11年の訪米時に、同氏が中台関係の安定を維持できるかどうかについて、ある米政府高官が疑念を表明した後のことだ。

だが、次の台湾総統選は2年近く先で、朱氏の訪米は慣例とは異なる。

同氏はバイデン米大統領の政権幹部や米議会のメンバー、シンクタンクと非公開の会合を開く。6日には新しい国民党事務所の落成式に臨む前にブルッキングス研究所で講演し、その後、ニューヨーク州、カリフォルニア州へ向かう。

国民党は08年に総統の座を勝ち取った後に米ワシントンの事務所を閉鎖し、国民党の代表者が台湾政府の事実上の駐米大使になった。
中国への接近きっかけに凋落

国民党の凋落(ちょうらく)は、馬英九総統(当時)が中国と合意したサービス分野での貿易協定に抗議する14年の「ひまわり学生運動」とともに始まった。

学生運動は、中国に対する過度な経済的依存と中台貿易で受ける恩恵の分配が不平等であることへの不安を反映していた。この時期に成人した若い有権者の多くは国民党を敬遠するようになった。国民党は過度に親中的だとみているからだ。

国民党はそれ以来、ポピュリズム(大衆迎合主義)を試したり、中国共産党に秋波を送ったりと漂ってきた。その過程で党主席が8人も入れ替わった。

16年に民進党の蔡英文氏に総統の座を奪われ、20年には蔡氏がさらに大きな差をつけて再選を果たした。

台湾の国立政治大学の選挙研究センターが実施した1月の世論調査によれば、国民党に共感する有権者は17%にとどまった。これは史上最低に近い水準で、民進党に12ポイントの差をつけられていた。

台湾の有権者と同様、米国の観測筋も国民党が米国の味方として信頼できるかを疑問視している。国民党は中国本土で創設された政党で、同党の政治家は台湾は中国と同一ではないと主張するものの、今でも台湾を中国の一部とみなしている。

米国の態度が中国に対して強硬になり、中国政府が台湾に対する圧力と威圧を繰り広げると、国民党の立場は台湾、米国双方で一段と不人気になっていった。さらに、米政府高官らは、蔡氏が中国政府の脅しを前に自らの立場を固守した、慎重だが断固たるリーダーとしての力を評価している。

テンプルマン氏によると、米政府の多くの関係者は今、国民党を「完全に脇に追いやっているか、下手をするともっと悪く、積極的に米国の利益を妨害している、信用できない相手だ」と考えている。ただし、国民党が今年の地方選挙で勝利を収めれば、そうした見方が変わる可能性があると話している。

党内での反米論調、関係修復の障害に

国民党の国際部トップで、駐米代表に指名されている黄介正氏は、台湾海峡で緊張が高まっているなかで国民党を切実に求められている「信頼できる存在」として売り込みたいと考えている。

「米国、台湾双方にとって、我々の最大の利益は、今後数年間に戦争が起きないようにすることだ」と語る。さらに、米国は「台湾が中国政府に気軽にあいさつできる与党を持つのを許す」べきだと話している。

「それは中国をなだめ、攻撃性を和らげることになり、敵意のコントロールになる。双方にとって良いことだ。これが、我々が米国に行く時に訴えたいストーリーだ」

テンプルマン氏は、「最近では、この主張がワシントンでどこまで通用するか分からないが、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が国民党政権の誕生を歓迎することは否定しようがない」と話す。

「これは恐らく台湾海峡の安全保障環境を安定させることに寄与し、それ自体は少なくともバイデン政権の一部からは歓迎されるだろう」

しかし、観測筋は国民党と米国の関係は容易に修復できないとみている。特に、多くの国民党政治家の間で反米の論調が人気だからだ。

黄氏は、民進党は米国に立ち向かうことができていないと主張し、「多くの台湾高官は常に『イエス・サー』と叫ぶことで米国の歓心を買おうと競い合っている」と述べた。「もし米国が支援してくれなければ、我々は全員終わりだ」

「だが、米国は自国により従順な党をひいきすべきではない」

By Kathrin Hille

(2022年6月2日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

国民党はかつて米国政府に酷い目に合わせられた経験があり、記憶が新しい人もいる。

50年前、ホワイトハウスは北京との国交回復、台湾との断交を前日に深夜に台湾国民党の指導者に伝えた。国民党にとってまさに裏切者という感じ。

これは、アメリカという国。

今回もバイデン大統領は台湾が侵攻されたとき、軍事介入を明言しても、訂正。いわゆる失言と処理された。ふらつくアメリカは世界を混乱に陥れている

2022年6月3日 17:44 』