戦闘機支援の無人機開発 日米、防空網強化へ技術協力

戦闘機支援の無人機開発 日米、防空網強化へ技術協力
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA242SQ0U2A420C2000000/

『政府は戦闘機を支援して飛ぶ無人機の開発に乗り出す。戦闘機に代わって接近する敵機やミサイルの早期探知に使い、警戒監視の効率を高める。迎撃用のミサイル搭載も検討する。日米が技術協力して開発し、作戦の連動性を高める。

日本の防空網と抑止力の強化につなげる。2025年度までに試作品を研究・開発し、26年度以降に実際の機体開発に着手する。35年度をめどに配備を目指す。

ロシアのウクライナ侵攻ではウクライナ軍が無人機でロシア艦船を攻撃するなど、戦闘様式を変えるゲームチェンジャーとして注目されている。

米欧や中国などは空軍の作戦の幅を広げるため、無人機を単独で使うのではなく、有人の戦闘機と組み合わせる高度な戦術づくりに着手している。日本も無人機を生かした作戦が空中戦の主軸となるとみて、米国とともに開発を急ぐ。

人工知能(AI)を搭載して戦闘機の前方を自律飛行する無人機を想定する。敵機を発見したときは有人の戦闘機とも情報を共有し、司令部や一緒に飛ぶパイロットが指示を出す。おとりとなって敵機を誘導するなどの支援にもあたる。

空対空の戦闘に攻撃力を持つ無人機が加われば、数的に有利な状況をつくりやすくなる。有人の戦闘機が行きにくい危険な場所も飛べ、パイロットの負担軽減になる。

自衛隊員の数は減少傾向にあり、無人機の活用で人的劣勢を少しでも補う方針だ。1機あたり100億円程度とされる戦闘機に比べ、必要な機能を絞れる無人機はコストを抑制できる。限られた防衛予算を効率的に使ううえでも期待は大きい。

政府は「F2」戦闘機の後継機を35年度配備に向けて開発中だ。無人機はそれを支援する機体として開発する。機数はF2戦闘機の100機規模と同等にする案がある。

自衛隊が現在保有する無人機は米国製の「グローバルホーク」など偵察目的に限られ、戦闘に参加する機体はない。防衛省によると、戦闘機を飛行しながら支援する無人機を配備した国は現時点でまだない。

中国は35年を軍隊の現代化を実現する目標年としており、日本はそれまでに有人機と無人機が情報共有などで連携する体制を整えて対抗する。

米軍は中国が27年までに台湾の武力統一に動く可能性があると分析する。その場合は無人機による防空網は間に合わない。当面は米軍が夏にも日本に一時配備する無人機「MQ9」との共同訓練などを通じて抑止力を高める。

MQ9は武装すれば攻撃任務もこなす機体で、米軍はイラクやシリアなどで活用してきた。

政府は無人機開発にあたり、国内企業を主体とする方針だ。改修や搭載装備の変更を柔軟にできるようにするためで、国内の防衛産業の維持にもつながる。無人機が支援するF2後継機の開発でも米国と技術協力していく。

人間の関与がないまま無人機がAIの判断で攻撃することには国際社会で倫理上の問題点が指摘される。防衛省は無人機の活用には人の判断を介在させる方針だ。

日本は軍備増強する中国やロシアと隣接する。両国軍の領空侵犯に備えるための航空自衛隊による緊急発進の数も増加傾向にある。ロシアのウクライナ侵攻により「力による一方的な現状変更」がアジアでも起こり得るとの懸念が高まっている。

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