中国人民大学、世界ランキング脱退 強まる内向き志向

中国人民大学、世界ランキング脱退 強まる内向き志向
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『【北京=羽田野主】中国の名門大学、中国人民大学が世界の大学ランキングから脱退を決め、波紋を広げている。習近平(シー・ジンピン)国家主席は「中国の特色ある世界の一流大学をつくり上げよ」と号令をかけており、中国の大学の内向き志向が強まりそうだ。

人民大は北京市にあり、官界に数多くの人材を輩出する名門だ。中国を代表する北京大学や清華大学と比較して語られることも多い。習指導部では、習氏側近の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相がOBだ。日本でも知名度は高く、一橋大学との学術交流などに取り組んできた。

中国メディアによると脱退は習氏が4月下旬に人民大を視察したあとに決まったようだ。

習氏は大学内で「中国は独特な歴史や文化、国情を持っている」と強調。「単純に外国の大学を基準や見本とするわけにはいかない」と話し、大学も中国独自の道を歩むべきだと力説した。世界の大学ランキングは英タイムズや英QSが発表するものなど複数ある。

地方の名門大学である南京大や蘭州大も、4月にランキングからの脱退を決めていた。中国メディアによると、米国の著名な大学ランキングで人民大は525位、南京大は135位、蘭州大は559位だ。蘭州大は「自分たちの研究に専念でき、ランキングの影響を避けることができる」とコメントしている。

人民大のある男子学生は「大学入試の難易度や就職先からみても北京大などと遜色はないのに、世界の大学ランキングではるかに下に位置づけられている」と話した。

一方で海外から優秀な人材が集まりにくくなると心配する声もある。大学ランキングは中国内外の学生が進学や留学の参考指標とすることが多いためだ。

中国の大学ではすでに「習近平思想」の学習が始まっている。教員用の研修施設も相次ぎ設置されており、共産党の統制が強まっている。

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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/China-s-Renmin-University-shuns-global-rankings-in-inward-turn?n_cid=DSBNNAR 』