FT] 欧州CL決勝巡る英仏対立、外交問題に発展の可能性

[FT] 欧州CL決勝巡る英仏対立、外交問題に発展の可能性
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 ※ ブレグジットの余波なのか…。

 ※ 紙チケットは「偽造」で、デジタル・チケットは「ОK」とか言うのも、いかにも「今風」な話しだ…。

 ※ サッカーのサポーターは、いつも「熱く」なり過ぎだ…。

 ※ 今回は、特に、コロナで「行動制限」されていた「反動」も、あるんだろう…。

『フランス政府は28日にパリ郊外のサンドニで開催されたサッカーの欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝戦で生じた混乱について謝罪した。これに対し、英国政府は当日の状況について「強い衝撃と憂慮を禁じ得ない」とコメントした。責任の所在について両国の認識の隔たりは大きく、外交問題に発展する可能性がある。

28日のサッカーの欧州チャンピオンズリーグ決勝戦。英国政府はリバプールファンに対する仏警察の対応に「深く失望している」と非難した=ロイター

フランスの関係閣僚はリバプール(イングランド)対レアル・マドリード(スペイン)の決勝戦に集まった英国のサッカーファンへの対応に問題があったことを認めた。

大量の偽造チケットが出回る

一方、競技場「スタッド・ド・フランス」の場外で警察が女性や子どもにまで催涙スプレーを浴びせて観客の入場を規制した問題について、仏政府は「組織ぐるみ」での偽造チケットが流通したのが原因だと述べた。試合はレアル・マドリードが勝利したが、偽造チケットを持つ数千人のリバプールのファンが詰めかけ開始が30分以上遅れた。

スポーツ当局と法執行当局による緊急会議後に開かれた記者会見で、ダルマナン内相とウデアカステラ・スポーツ相は、競技場周辺に集まったリバプールのファンの身にふりかかった出来事に遺憾の意を表明した。ダルマナン氏は「28日の夜に生じた大混乱は全く自慢にもならない」と述べ、「スポーツは祭典であるべきだが、今回は一部台無しになった」と付け加えた。

一方で同氏は、偽造チケットを持つか、そもそもチケットを持たない4万人ものファンが入場口に殺到し危険な状況になったことが原因だと述べ、警察の対応を擁護した。

さらにダルマナン氏は、今回の「組織ぐるみの大型詐欺」が起きたのはリバプールサポーターのほぼ全員がデジタルチケットではなく紙のチケットを利用していたせいだと指摘した。これに対してレアル・マドリードのファンは2万2000人のうち4分の3がデジタルチケットを持っていた。フランスの検察当局はチケット詐欺の疑いで捜査を開始し、CLを主催する欧州サッカー連盟(UEFA)に調査を要請した。

「ファンの証言と矛盾」

入場を待ちわびるリバプールのファンは購入したチケットを提示したが、大量の偽造チケットが流通したため多くが入場規制を受けた=AP

偽造チケットが混乱の原因だとするフランス側の主張に対し、リバプール市のジョアン・アンダーソン市長は「非常に無責任であり、その場にいた複数のリバプールファンによる映像や証言と矛盾している」と批判した。

ジョンソン英首相の報道官は「現場で撮影された映像には強い衝撃と憂慮を禁じ得なかった。多くのリバプールファンは時間に余裕を持ってパリに移動したと聞いている。彼らに対する扱いに深く失望している」と表明した。

フランス側の説明にはジャーナリストや現場にいたファンなどからも疑問が上がっている。サッカーファン団体のフットボール・サポーターズ・ヨーロッパ(FSE)を率いるローナン・エビアン氏は、4万人という数字は「幻想」だと述べ、当日の現場にいた約7000人もの警察隊による行動の責任をリバプールサポーターに負わせるためにフランス当局が人数を誇張していると批判した。

週明けの30日には問題を検証するためにUEFA、フランスサッカー連盟、警察、内務省、競技場があるセーヌサンドニ県の各代表者が出席して会合を開いた。

競技場の最寄り駅を通る鉄道路線でのストライキも混乱を悪化させた。他の交通手段の利用を余儀なくされたファンが数少ない道路から競技場入り口に押し寄せた。英国のサポーターを適切な場所に誘導する標識や案内係も不十分だった。

当局によれば、試合開始の予定時刻だった午後9時の時点でレアル・マドリードのサポーターの97%が入場を済ませたのに対し、リバプールのファンの入場は半数にとどまっていた。

UEFAは決勝戦で起こった問題に関して外部の独立機関に調査を依頼したと発表し、「包括的な調査によって決勝戦に関わった全関係者の意思決定、責任、対応を検討する」と表明した。

リバプールのビリー・ホーガン最高経営責任者(CEO)もより詳細な調査を求め、ファンに現場で撮影した写真や動画の提供を呼びかけた。

「すべての政治家や関係機関は責任を逃れようとする前に完全かつ独立した調査の結果を待つべきだ」とホーガン氏は述べた。リバプールはフランスの関係閣僚に書簡を送り「責任転嫁を試みる扇情的な発言」に対する謝罪を求めた。

「ヒルズボロの悲劇」以来の惨劇

決勝戦を観戦したリバプールウェストダービー選出のイアン・バーン下院議員(労働党)は、今回のような惨劇を目にしたのは1989年の「ヒルズボロの悲劇」以来だと話した。英中部シェフィールドのヒルズボロ・スタジアムで行われたイングランド協会(FA)カップ準決勝でゴール裏の立ち見席にサポーターが殺到し、観客96人が圧死した事故のことだ。バーン氏はトラス英外相にフランス当局およびUEFAの対応に問題がなかったかどうか正式な調査を求める書簡を送った。

「正直に言って、あの競技場周辺で私は人生で最も恐ろしい体験をした。ヒルズボロの生存者として、こんなコメントを軽々にはしない」とバーン氏は書簡で訴えた。

「サッカーの試合でこれほど非友好的な状況を私は本当に一度も見たことがない。まさにぞっする光景だった。催涙スプレーをかけられた人のなかには多くの高齢者、子ども、障害者、ぜんそく患者、思い出作りに出かけた家族がいた」

一部のファンからは競技場から出る途中で金品を脅し取られたとの報告や、警察が会場周辺の警備を怠ったと責任を追及する声も上がった。警察当局は29日、こうした報告に対するコメントを拒否した。

フランスは注目のイベントで面目を失っただけでなく、2023年のラグビー・ワールドカップおよび24年の夏季五輪の開催国として政治的にデリケートな問題を抱え込むことになった。

By Leila Abboud and Jim Pickard

(2022年5月31日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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