米ニュージーランド首脳、中国・ソロモン安保協定に懸念

米ニュージーランド首脳、中国・ソロモン安保協定に懸念
共同声明「地域バランスを根本的に変える」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN31EQ10R30C22A5000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領は5月31日、ホワイトハウスでニュージーランド(NZ)のアーダーン首相と会談した。

両首脳がまとめた共同声明で、中国とソロモン諸島が4月に結んだ安全保障協定に懸念を表明した。「価値観や安保上の利益を共有しない国家による軍事拠点の構築は地域バランスを根本的に変える」と記した。

バイデン氏は会談の冒頭「あなたは最も親しいパートナーのひとりだ」と強調。ウクライナに侵攻しているロシアに対する米欧と協調した制裁について「ニュージーランドの支援を評価したい。 これはひとつの地域の戦争以上のものだからだ」と述べた。

アーダーン氏は「ウクライナの領土主権だけでなく、我々の価値観への脅威に国際社会が対応を強化することは重要だ」と話した。

声明では覇権主義的な行動をとる中国を念頭に「インド太平洋地域で安定、成長、繁栄を育んできた価値観、規範、ルールが脅威にさらされ、困難な状況に直面している」と指摘。

ロシアによるウクライナ侵攻とともに「大西洋と太平洋を横断する共通の目標と行動が必要だ」と提起した。

両首脳にはロシアのウクライナ侵攻がインド太平洋地域に波及しかねないとの警戒感がある。

声明では「ルールに基づく国際秩序に基づき、国家、とりわけ小国が強制されることなく自国の利益を追求できる地域を実現するために関与する」とも明記した。

意識するのは経済力を武器に南太平洋の島しょ国などとの関係を強化する中国の存在だ。中国は台湾を国際社会から孤立させようと圧力をかける。ソロモン諸島とキリバスは2019年に台湾と断交して中国と国交を結んだ経緯がある。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、ソロモン諸島と中国が22年4月に結んだのと同様の安保協定の交渉がキリバスとの間でも進められている。軍の派遣や艦船の寄港が可能になるとの見方もある。米NZ首脳の共同声明からは地政学上の要衝での中国の行動に対する深い憂慮が浮かび上がる。

米NZは違法漁業への対処など海上警備の協力を拡大すると確認した。

日米豪印の枠組み「Quad(クアッド)」は5月下旬の首脳会合でインド太平洋地域で違法漁業監視で連携する方針を決めた。NZを含む同盟・友好国で沿岸警備の能力向上につなげる。

南シナ海で中国と領有権を争うベトナムやフィリピンなどとの連携を想定し、実効支配を進める中国に対処する狙いがある。

声明では台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、双方に平和的解決を促した。

両首脳は米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を前進させるために協力する方針で一致した。

アーダーン氏はNZがメンバーである環太平洋経済連携協定(TPP)に支持を表明しつつ「IPEFは地域の経済的な強靱(きょうじん)さを構築する重要な機会になる」と訴えた。』