イスラエル、UAEと自由貿易協定 対アラブで初

イスラエル、UAEと自由貿易協定 対アラブで初
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『【カイロ=久門武史、ドバイ=福冨隼太郎】イスラエルは5月31日、アラブ首長国連邦(UAE)と自由貿易協定(FTA)に署名した。イスラエルがアラブ諸国とFTAを結ぶのは初めて。2020年に国交を樹立した両国が経済面でも関係を一段と強める。

UAEで5月に就任したばかりのムハンマド大統領は対イラン強硬派で知られる。大統領に就く前からUAEの事実上の指導者としてイスラエルとの国交樹立を主導した。ともに安全保障上の脅威とみなすイランへの対抗でも連携を深める可能性がある。

イスラエル政府は31日発表した声明で、両国間で取引する製品の96%について即時または段階的に関税が撤廃されると説明した。農産物、化粧品、医療機器、医療品などが対象になる。両国は4月にFTA締結で合意していた。

声明によると、21年の両国間の貿易額は8億8500万ドル(約1100億円)に「急増」した。イスラエルとUAEはトランプ米政権(当時)の仲介で国交を結び、企業間の取引や協力を拡大してきた。FTAは両国間の貿易の活性化に追い風となる。

イスラエルのベネット首相は「これほどの広い範囲に及ぶFTAをアラブの国と結ぶのは初めてだ」とツイッターで歓迎した。署名式はUAEのドバイで開かれた。出席したイスラエルのバルビバイ経済産業相は「この合意は両国に無限の機会を開く」と強調した。

両国間のビジネスを促進するUAEイスラエルビジネスカウンシルは31日、両国間の貿易額が22年に20億㌦を超え、UAEで活動するイスラエル企業が同年、1千社に達するとの見通しを示した。「ドバイは南アジアや中東、極東を目指すイスラエル企業のハブになりつつある」と強調した。

イスラエルは20年、UAEだけでなく、バーレーン、スーダン、モロッコとも国交正常化で合意した。こうしたアラブ諸国は従来、パレスチナ問題の解決をイスラエルと国交を結ぶ条件だとしていたが、トランプ前米政権の後押しで、方針を転換した。

このうちUAEとの経済協力をイスラエルは先行させた。同国は今後、UAEとのFTA締結を「実利」の象徴として、ほかのアラブ諸国とも外交関係の正常化を目指すとみられる。

一方、UAEは2月、インドと包括的な経済連携協定(CEPA)の締結で合意したばかりだ。インドはイスラエルとのFTA交渉を再開しており、中東からアジアにまたがる経済連携が具体化し始めている。インド、イスラエル、UAE、米国の4カ国は21年10月、オンラインで外相会談を開き、関係強化を確認した。』