リチウム最大埋蔵地は物騒なコンゴの山奥だった

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)5月31日(火曜日)
        通巻第7353号  
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 リチウム最大埋蔵地は物騒なコンゴの山奥だった
   南東部マノノ鉱山で4億トンのリチウム=世界最大の埋蔵量
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 EVブーム。さらに補助金がつくので軽EVは180万円台。東京都からの補助金を加えると、130万円台で、軽EVを買える。おりからガソリン高騰、EV懐疑論をよそに売れ行きが伸びているそうな。

 しかしEVの死命を制するのはリチウム・イオン電池とコバルトである。電池の質そのものは大きなイノベーションが相次いで、位置も車底におかれてスペース問題は解決した。
またEVスタンドも増えている。乾電池業界ではかなり以前からリチウム・イオン電池は、マンガン電池の十倍のパワーがあるとして重宝されてきた。

 これまでは南米とジンバブエなど南半球で鉱山開発がすすみ、カナダの企業が南米産の採掘、運送、精製、販売を手がけてきた。豪は原石のまま、中国へ輸出し、精製をまかせてきた。
鉱石から精製されるのは6%でしかなく、残りは産業廃棄物だ。なぜ、こういう非効率的なプロセスなのかと言えば、西側がとりつかれた「脱炭素」である。
地球温暖化は嘘とわかっているのにカーボンゼロ実現などと、異様な構造を生み出した。ちなみに佐渡金山は廃れたが、日本でも鹿児島に菱刈金山があって、住友金属鉱業は金を含有する鉱石をトラックで港に鹿子木まで運び、そこで精製している。

 四億トンのリチウム埋蔵が確認されたのはコンゴ南東部マノノ。タンガニーカ県に属し、最近は近くに空港も出来た。地理的には内陸部だが、ルクシ川を利用する船の水運が開けている。
問題は部族が乱闘、戦闘をくりかえすので、治安の悪さが鉱山開発を妨げていることである。

 近くのコバルト鉱山では中国人の鉱山技師や現場監督の誘拐、殺害事件が後を絶たず、治安部隊は信用がなく、まして現地は部族同士の争いが絶えない。採掘利権をめぐって部族同士が戦闘を繰り返してきた。

コンゴ民主共和国が嘗て「ザイール」を国名としていたときの独裁者はモブツ・セセ・セコ(大統領在任は1965~1997)、世界最大のコバルト産出を誇り、利権獲得の腐敗がはびこった。コバルトはハイテク材料に欠かせない戦略的鉱物資源とはわかっていたが、今日ほどの需要はなかった。
1990年代にITブームが来て、レアアースに焦点が移行した時期もあった。

 ちなみにレアアースは80%を中国が生産するが、埋蔵世界一はアメリカだ。脱炭素、クリーンエネルギーとかで、石炭まで制限されている西側ゆえに、アメリカにおけるレアアース鉱山の開発は手がつけられないままである。
だから脱炭素は中国とロシアが裨益する。とくに石炭火力発言を増やし公害をまきちらして、平然と環境破壊、重労働を気にもしないで生産できる中国は、西側のアキレス腱を握っていることになる。
 
 コバルト埋蔵はコンゴのほかにはカナダで生産されている。日本ではエンジンの触媒や高速切断に使われた。EVブームがきて、リチウム・イオン電池のスペックが替わり、むしろリチウム需要が天文学的となった。

 コンゴの奥地、マノノはダイヤモンド鉱床に付帯して露天掘りというが、はたして内陸部からゲリラを戦いながら長距離を運ぶわけだから、西側において末端価格は暴騰するに決まっている。

 さて国際政治における問題は何かと言えば、レアアースとレアメタルの供給が中国に握られていること。アルミとニッケルはロシア企業が強いことである。
 そして皮肉なことにリチウム・イオン電池メーカーは日本勢が圧倒的につよくパナソニック、TDK、村田製作所、昭和電工、エクセルなどが競う。近年は中国のCATL、韓国のLG化学などの猛追が顕著になってきた。

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